vol.10 「生きづらい<私>たち」

生きづらい<私>たち (講談社現代新書)

生きづらい<私>たち (講談社現代新書)

精神科医香山リカ氏の著作です。
従来の精神医学で「境界性人格障害」「解離性障害」と呼ばれてきた
障害に対し「病・異常と健康・正常の区別は、今やほとんど意味が
なくなった」とし、「生きづらい」「苦しい」と訴える若者の問題を
理解しよう、と書かれたものです。
自殺目的でない自傷、に関連する項はとても興味深く読みました。
『決意の自殺企図でもなければ、”狂言自殺”でもない。はっきりと
死への意思があるわけではないけれど、万が一、そうなるならそれは
それでかまわないし、生き残ってしまったならそれもかまわない、
そしてその両者にはそれほど大きな違いもない。このような(中略)
自己確認の結果としての自殺を、「くじ引き」の自殺と呼びたい』
まさにその言葉がぴったりくる感じ。
自分の不安な感じを言葉にするとこうなるのかな、これは違うな、
などと思いながら読みすすめました。