vol.21 マラーホフ、ニジンスキーを踊る「ニジンスキー・プロ」

マラーホフニジンスキーを踊る「ニジンスキー・プロ」
出演:シャルル・ジュド、フリーデマン・フォーゲル、東京バレエ団
振付:ミハイル・フォーキン、ワツラフ・ニジンスキー
指揮:アレクサンドル・ソトニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

今日は小品集でした。全部で4演目。バレエ・リュスの作品。
・レ・シルフィード(フリーデマン・フォーゲル、吉岡美佳、他)
シルフィードというのは風の精で、「レ」は複数形の定冠詞です。
ラ・シルフィード」と違ってストーリーは特になく、詩人とシルフィードたちが
ショパンの曲に合わせて踊ります。ロシアでは「ショピニアーナ」とも呼ばれて
います。フォーゲルはやっぱりノーブルな役が似合いますね。素敵な詩人でした。
私が初めてソロをいただいた作品でもあり、大好きな作品です。
・薔薇の精(大嶋正樹、高村順子)
舞踏会からかえっていすでまどろむ少女の元に、窓から薔薇の精が跳びこんでくる。
少女が胸に飾っていた薔薇の花の精。ひとしきり踊った後、また窓から飛び去って
行く。このジャンプが男性ダンサーにとって試金石のような踊りです。
・牧神の午後(シャルル・ジュド、井脇幸江、他)
ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」に振付けられた作品。
クラシックバレエの基本であるアンドゥオール(外へ開くこと)を拒否し、インに
閉じられて動く。手は指先がぴったりそろえられ、腕は四角張っている。
パリ・オペラ座の元エトワールであるジュド。さすがにこなれています。
ニジンスキーはきっとこんな風に踊ったのだろうと思えてなりません。
ペトルーシュカ(中島周、小出領子、後藤晴雄、高岸直樹、他)
ストラヴィンスキーの音楽(「火の鳥」「春の祭典」と合わせて彼の三大バレエ音楽といわれる)。
魂を持った人形ペトルーシュカの悲劇を描いた一幕四場の作品。
中島周の演技がとてもよかった。ペトルーシュカの喜びと悲しみをとてもよく
表現していた。小出領子はそのテクニックがすばらしかった。何気ない動きでも
ポアント(トウシューズ)でやるのが大変なことは身をもって知っているから
余計にそのすごさがわかるのです。すばらしい逸材です。もちろん後藤晴雄の
ムーア人もよかった。単純そうに見えるけれど、なかなかの難役です。
そして意外にも似合っていたのが高岸直樹のシャルラタン(見世物師)。
つけ鼻もよくお似合いでした(笑)。表情がとても表現力豊かでした。
最初目だけの演技があるのだけれど、それがオペラグラスなしでもわかるほど。
もともと顔のつくりは派手な人だけれど、それをよく生かしていたと思います。


帰りに劇場の外でフォーゲルがにこにことサインしているのに出くわしました。
私は今日プログラムを持っていかなかったのでもらえませんでした。残念。
笑顔の素敵な、やさしそうな青年でした。