vol.23 「フィガロの結婚」

W.A.モーツァルトフィガロの結婚新国立劇場
出演:デトレフ・ロート、マイヤ・コヴァレヴスカ、ロレンツォ・レガッツォ、中村恵理、他
指揮:沼尻竜典
演出:アンドレアス・ホモキ
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニック交響楽団

今回は「フィガロの結婚、あるいは狂った一日」です。
ちょうどオペラ実習の授業で取り組んでいる作品なので、とても興味深く
見てきました。舞台は立方体に作られていて、正面側一面が壁がなく中が
見える状態です。舞台上のセットは引越しかと思うようなダンボール箱
積み上げられます。これがあるときはテーブルに、あるときはいすに、
あるときは身を隠すついたての役割を果たします。唯一、ガビネット
(観音開きの衣装箪笥)だけはちゃんとしたものが出てきましたが、
それも後半では東屋の役割を果たします。四方の壁と段ボール箱とガビネット
すべて白色で統一されています。
登場人物も、伯爵と伯爵夫人あたりは時代にふさわしい格好に鬘という
いでたちでしたが、村人たちは簡素な黒の衣装でした。バルトロ、バジリオ、
ドン・クルツィオも鬘でしたね。衣装は白と黒のモノトーンで統一されて
いました。
フィガロ〜」には有名なアリアや重唱がたくさんありますが、今日の舞台で
一番拍手が続いたのは伯爵夫人の「楽しい思い出はどこに(Dove sono)」
でした。一年生のときに歌ったけど、難しかった。長いレチタティーヴォ
始まって、夫の不実を嘆く歌です。とても繊細で美しいアリアでした。
なかなか拍手がなりやまず、ブラボーもかかりました。このときはとても
悲しそうなのに、すぐ後で「手紙の二重唱」のときはスザンナとともに
笑いながら登場するのは、まだ伯爵夫人とはいえ若いという証拠でしょうか。
全4幕のところ、2幕ずつに分けて30分の休憩を挟んでの上演でした。
字幕付きイタリア語上演ですが、字幕は2行しか表示できないので、どうしても
省略される部分が多くなります。でも授業でやっているおかげで、字幕にない
細かな部分も理解することができました。やはりスコアやリブレットを
読み込んでいると理解度が違いますね。とてもいい勉強になりました。
これからも舞台を見るときは事前にDVDを見るなどしておいたほうがいいなと
思いました。その分舞台を十分に楽しむことができますものね。