vol.27 「マラーホフの贈り物 2008」Bプロ

マラーホフの贈り物 2008」Bプロ
出演:ウラジーミル・マラーホフ、ポリーナ・セミオノワ、他
振付:マリウス・プティパジョージ・バランシン、ジェローム・ロビンズ、他

昨日はマラーホフ率いるガラ公演でした。Aプロは頭痛で行かれず。
座席は15列目のど真ん中でした。あえてオペラグラスは使わず、舞台全体を眺めます。
〜第一部〜
・「牧神の午後」(ウラジーミル・マラーホフ、ポリーナ・セミオノワ)
ニジンスキー版ではなく、「ウエスト・サイド・ストーリー」で有名な
ロビンズ版です。音楽はドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」。
リハーサル室を舞台に繰り広げられる男女二人のダンサーの作品。
ロビンズ版を見たのは初めてなのですが、美しい作品でした。
・「グラン・パ・クラシック」(ヤーナ・サレンコ、ズデネク・コンヴァリーナ)
真っ白なクラシック・チュチュで登場したヤーナ・サレンコは細くて可憐で
確かなテクニックの持ち主でした。やっぱりこのグラン・パはギエムが十八番
だと思うけれど、このままもっと磨いていけば十分にレパートリーに入れられる
でしょう。コーダのグラン・フェッテはシングル、シングル、アラスゴンド・トゥール、
ダブル、という構成でした。
・「ハムレット」(マリーヤ・アレクサンドロワ、セルゲイ・フィーリン)
マリーヤ・アレクサンドロワの表現力がすばらしかった。狂気のようなすさまじい
オーラが確かに見えました。周りの空気を切り裂くようなシャープな踊り。
セルゲイ・フィーリンもベテランらしく、確かな存在感を示していました。
・「白鳥の湖より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ」(イリーナ・ドヴォロヴェンコ、マクシム・ベロツェルコフスキー)
もうすっかりおなじみのこのグラン・パ。アダージオは実にオーソドックスな
振り付けでした。そして正確なテクニック。ガラ公演などでは派手にみせつける
ような踊りが多いけれど、このペアは正確な踊りとはこういうものだと言わんばかり
の踊りを見せてくれました。コーダのグラン・フェッテは速いテンポながらシングルで
通す徹底振り。
〜第二部〜
・「バレエ・インペリアル」(ウラジーミル・マラーホフ、ポリーナ・セミオノワ、東京バレエ団
チャイコフスキーの音楽にバランシンが振付けたもの。プティパへのオマージュと
言われています。ちょっとだれた感あり。てか、東京バレエ団いらない。
〜第三部〜
・「シンデレラ」(マリーヤ・アレクサンドロワ、セルゲイ・フィーリン)
プロコフィエフ音楽、ザハーロフ振り付け。第三幕より、結婚式の場面。
第一部の「ハムレット」とは打って変わって華やかな踊り。ベテランらしい重厚な
踊りでした。
・「アポロ」(イリーナ・ドヴォロヴェンコ、マクシム・ベロツェルコフスキー)
アポロは太陽神であると同時に音楽の神でもあります。本来、この踊り(バランシン
振り付け)には三人のミューズが登場します。が、ここでは一人でしたね。
竪琴をもって現れたところをみると、歌と踊りの女神テレプシコールでしょうか。
バランシンらしいすっきりとした踊りです。
・「ドン・キホーテ」(ヤーナ・サレンコ、ズデネク・コンヴァリーナ)
これは拍手喝采でした。一番盛り上がったのではないでしょうか。真っ赤なチュチュの
サレンコと黒いジャケットのコンヴァリーナ。すばらしいできばえでした。
コーダのグラン・フェッテはシングル、シングル、ダブル、という構成。
途中でトリプルが入ったのは音楽に合わせるためか、うっかり回りすぎたか。
・「ラ・ヴィータ・ヌォーヴァ」(ウラジーミル・マラーホフ世界初演
今回の公演のために振付けられた作品。正直それほどいいとは思わなかったけど。
ゆるやかに身体に沿う衣装を途中で脱ぎ捨て、白のシャツと短いパンツになります。
その踊りは「新しい生」というタイトルに合っているような気もします。
正直、その前のドン・キの印象が強すぎて・・・。「ヴォヤージュ」見たかったな。


モダン作品もいいけれど、やはりマラーホフの生まれながらに王子然とした
美しい身体やたたずまいを生かすのは古典作品だなぁと思います。
でもそのパートナーにはセミオノワはどうだろう?まだ若すぎて生硬な感じが。
ギエムが若くしてスターになったときのようなオーラは見えない気がします。
でも恵まれた肢体を生かしてスケールの大きなダンサーになってほしいな。
マラーホフの相手にはもっと可憐で儚げなダンサーのほうが似合うと思います。
今回のヤーナ・サレンコのような。彼女には今後注目していきます。