無料配布

タダに殺到! 銀座を大混乱させた“ダイヤ騒動”の成否

 「ダイヤ無料配布」で東京・銀座の街を大混乱させたフランスの宝飾ブランド「モーブッサン」。店の対応の不備を問う声がある一方、行列客の行儀の悪さにも批判が集まっている。なかには、ダイヤの引換券をネットで転売する者まで現れる始末。2500万円も投じた開店記念イベントは、果たして成功だったのか−。
 モーブッサンはフランスの「5大宝飾店」のひとつで、1827年創業の老舗。この名門ブランドが1日、銀座店で先着5000人に0.1カラットのダイヤ(5000円相当)を無料配布すると発表したことから、人が殺到。午前9時の開店前には1.5キロにわたる行列ができた。
 ダイヤはわずか1時間半で“売り切れ”たが、この日のうちに権利を得たすべての客に受け渡せないことが判明すると、長時間行列に並んだ人たちから不満が噴出。怒号が飛び交い、「誠意がねーよ」などと警備員に詰め寄る人も現れた。
 “無料ダイヤ騒動”は関係者の予想を超えるものだった。モーブッサンジャパンのヤニック・デリヤン社長(29)は「これほどの混乱は想定していませんでした」とポツリ。同様のイベントは米ニューヨークの店舗でも開催されたが、「そこでは大きな混乱はなかった」というだけに、日本の過剰反応が際だつ格好ともなった。
 アジア圏では銀座が初の路面店だが、今回の騒動を受け、デリヤン社長は「次に路面店を開設予定のシンガポールでは同じイベントはやらないと思います」と話した。
【うまく利用されただけ】
 実際、「無料」の触れ込みに釣られた人は多かったようで、「普段、銀座で買い物しないような客層もかなりいた」(同店関係者)。同店ではダイヤ譲渡と同時に5万−9万円の価格でリングなどにセッティングするサービスも行っているが、当日ダイヤを受け取れた330人のうち、セッティングしたのは全体の約15%。残りの約280人は無料ダイヤをそのまま持ち帰ったという。
 さらに、ダイヤとの引換券をネットオークションに出品する者も現れた。この事実には、デリヤン社長も「えっ…。そこまでは想定していませんでした」と言葉を失っていた。
 一連の騒動について、ネットの大手掲示板には≪なんと賎ましい≫と行列客のマナーの悪さを批判する書き込みがあふれている。ダイヤへの引換は15日まで行われるが、このイベントは成功したと言えるのか。
 ファッションデザイナーのドン小西さんは「ブランド生き残りのため、潜在的な市場を開拓する戦略。話題になったという点では成功」と話す。
 ただ、「ユニクロマクドナルドなどの商品が生活に根づいているような一般層にアピールしても意味はない。最も下劣で低俗なPR手法で、フランスの名門ブランドのイメージは半分以上崩壊した。そういう意味では大失敗」とも。
 そのうえで「ファッションを上辺だけでとらえる人が物ごいのように群がるのは見苦しい。日本人の民度の低さと野次馬根性を見透かされて、うまく利用されただけ」とため息をついていた。

確かにブランドのイメージは悪くなったよねぇ。それでも店名を周知させる
ことができればいいのだろうか。