vol.32「第12回世界バレエフェスティバル」Aプロ

前回と似たような席だったので今日はちゃんと防寒対策をしていきました。
が、前列に座高が高く頭の大きな中年男性……。見えないよ、勘弁してください。

指揮:ワレリー・オブジャニコフ

管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団

ピアノ:高岸浩子

配役表(NBSのサイト)


前回と同演目同ダンサーなので、ピックアップして。





■第1部■


チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」

振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

マリア・コチェトコワ ダニール・シムキン

初日と比べると、随分硬さが取れてとても楽しそうに踊っていました。シムキンは回転でちょっと力が入っていたけれど、ピルエット7回転(しかも最後はルティレの足をエファセに放り上げていた)とか、ア・ラ・スゴンド・トゥールを4回転−1回転−1回転のコンビネーションで連続したりとテクニックもしっかりアピールしていました。ジャンプも高いし、元気一杯でした。

「海賊」

振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ

マリアネラ・ヌニェス ティアゴソアレス

あまり大きな変化は見られなかったけれど、美しい踊りをするペア。今日も男性が女性のピルエットをサポートするところで片手で回らせていました。ヌニェスのバランスがよいのですね。リフトもワンハンドでしたよ。コーダのフェッテは1回転−1回転−2回転。でも余裕を持って美しく回っていました。

くるみ割り人形

振付:レフ・イワーノフ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

ヤーナ・サレンコ ズデネク・コンヴァリーナ

まじめで品のよい踊りは初日と同じ。

コッペリア

振付:アルテュール・サン=レオン/音楽:レオ・ドリーブ

アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

アダジオで下手奥から上手前に進むシーン、スワニルダがアラベスクでバランスする間にフランツが回転技を入れるところ。通常3セット行うんだけれど、1回目コジョカルのバランスが随分長かった。2回目なんてコボーが手を出してもコジョカルは降りずにバランスをとったまま。3セット目を飛ばしてずっとバランス。10秒近かったと思います。会場が拍手喝采でした。アンオーのアラベスクってバランスとりづらいんですよね。もう怪我はすっかり良くなったのかしら。スワニルダとフランツがラブラブなのも伝わったし、今日はとってもいい出来でした。






■第2部■


「ジゼル」より第2幕のパ・ド・ドゥ

振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー/音楽:アドルフ・アダン

上野水香 マチュー・ガニオ

初日よりずっと良くなってました>水香。随分こなれた感じ。3年後くらいに全幕を見てみたいです。

「クリティカル・マス」

振付:ラッセル・マリファント/音楽:リチャード・イングリッシュ、アンディ・カウトン

シルヴィ・ギエム ニコラ・ル・リッシュ

舞台中央に2m四方くらいの光のステージ(他は闇)。上手と下手から二人が歩いてきて、ステージに入る。無音の状態でゆっくりと行われる動作が基本となって、音楽の変化に合わせて基本動作は速くなったり反復したり変形したりしながら繰り返される。最後はまた上手と下手に分かれて去っていく。

「ライモンダ」より第3幕のパ・ド・ドゥ

振付:マリウス・プティパ/音楽:アレクサンドル・グラズノフ

マリア・アイシュヴァルト フィリップ・バランキエヴィッチ

バランキエヴィッチの回転がやはり素晴らしい。アンレール2回転−ピルエット1回転を連続で披露してくれた。着地がきちんとしているからそのまま次の回転に入れるのですね。美しい。

「ディアナとアクティオン」

振付:アグリッピーナ・ワガノワ/音楽:チェーザレ・プーニ

シオマラ・レイエス ホセ・カレーニョ

カレーニョはやはりいつもと違う。というのはお疲れなのか、お年なのか。
でも楽しさを客席に伝えるのはいつもながらとても上手でした。初日にミスしていたアダジオの最後のリフトも完璧でしたよ。ソロではやはりジャンプのキレがあまりよくなかったですが。
レイエスは回転得意みたいだったけど、コーダではだんだん髪が崩れてきてしまってカレーニョに回されている間お団子が飛び散るんじゃないかとはらはらしました。このペアも片手サポートでピルエットしてました。
グランド・フィナーレのカーテンコールでは、おなじみの「ジャンプで飛び上がった状態で幕前に現れる」をやってくれました>カレーニョ






■第3部■


「椿姫」より第1幕のパ・ド・ドゥ   

振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン

オレリー・デュポン マニュエル・ルグリ

今日のルグリはそんなに良くなかった。連日でお疲れなのかしら。初日とは別人のようで、実年齢相応になっていました。残念。

白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"

振付:マリウス・プティパ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・ウヴァーロフ

ザハロワは気合十分、張り切って踊っていました。初日の不安定さが嘘のようです。
でもウヴァーロフは身体が重そうでした。体調悪いのかなぁ。ソロは本当にどすんどすん音がしていましたし、着地も硬くてぎこちなかったですよ。
初日に失敗したコーダの最後のリフトはなくなって、跪いた王子がオディールに手を差し出すものに代わっていました。やはりウヴァーロフの調子が悪くて失敗したのでしょうか。

「カジミールの色」

振付:マウロ・ビゴンゼッティ/音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ

ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ

見ていたら、なぜだか「レダ」という作品を思い出しました。といっても実物を見たことはなくて、写真だけなのですが。踊ったのはマイヤ・プリセツカヤとジョルジュ・ドンでした。

ドン・キホーテ

振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス

ナターリヤ・オシポワ レオニード・サラファーノフ

やはりこのドンキは盛り上がりますね。今回のAプロはあまり派手に踊らないペアが多かったので(海賊もディアナとアクティオンも黒鳥PDDも)、このドンキが最後にあってよかったです。全幕では見られない(そしてあまり全幕では見たくない)力技の連発で客席も大いに沸きました。
オシポワのグラン・フェッテは初日同様前半は全部2回転、後半は1回転−1回転−2回転で最後に4回転で締めました。後半の2回転は手をアンナヴァンではなく腰においてましたよ。
それを受けたサラファーノフはア・ラ・スゴンド・トゥールを全部2回転でやりました。ソロでもマネージュでのトゥール・アンレール・アチチュードが驚くほど高かったです。
拍手喝采でした。






これでAプロは終了。次は土曜日から始まるBプロです。