職人

子供の頃からずっと、私は職人作業を見るのが好きだった。
正確に言うと、誰かが何かを作っているところを見るのが好きだった。
ご近所でブロック塀を積んでいたり畳職人が長い針を刺していたりするのを
飽きもせずにじっと眺めていたものだ。
今でもそれは変わらず、TVで織物をしたり蒔絵を施したりしている番組があると見入ってしまう。
さらに今は便利になって、セミプロや素人が自分の作品や作業工程の写真や動画をネットに公開している。
うっかり一つ見つけてしまうと次々に興味深いものを発見してしまう。
今日はフェイクスイーツを作っている人たちのブログを読みふけってしまった。
特に関心を惹かれたのは実験系の工程。
一つの完成形に辿り着くまでの手順も興味深いが、この質感はどうやって表現するか、
この色はどうしたら出るのかなど試行錯誤しているページが面白い。
例えばピンクの絵の具を作るためには赤と白を混ぜればよいのは誰でもわかる。
その赤と白の割合を様々に変えたり、絵の具の種類を変えたり、絵の具ではなく色粉を混ぜたりと
様々な実験をしていて、その過程を見ることができるのだ。
目的の物(作りたいアイテム)が同じでも人によってやり方は違い、
あれこれ比較しながら読んでいるのは大変に楽しいことだ。
私が実際に作る事は多分ないだろう。小物を飾る趣味がなく使い道がないから。
そして何よりそこまでの情熱も器用さもないと思うから。
しかしこういったブログや動画を見ているだけで、十分に楽しんでいる。
洋菓子や和菓子の本を眺めているのと同じようにわくわくがとまらない。