芸術

歌の先生が嘆いていた。言葉のある歌を歌うのに、歌詞を調べることすらしない子が多すぎると。
ひどい子だと辞書すら買わないんだとか。日本で出版された楽譜なら対訳が書かれているので
それを見れば意味がわかるからと自分で調べないのだそうだ。
学校が技術偏重主義なので、その悪影響なのかな?と話していた。
バレエの経験からも思うのだけれど、スポーツではない芸術である以上、大切なのは
何をどう表現するかだと思う。技術はその表現の幅を広げるために必要だけれど、
技術があるだけでは芸術にはならない。テクニックは目的ではなく手段なのだから。
歌は言葉を使って伝えるものだから、それが何を意味するのか理解しないでは何も伝えることはできない。
ストーリーがあるオペラはまだしも、独立している歌曲の場合はその詩が書かれた時代背景や
詩人の主義主張・思想・人生などを理解する必要があることも少なくはない。
もちろん常にここまで勉強するのは時間的に無理だろうが、アンテナを張っておくことは大切だ。
どんな分野でも勉強することは必要だ。それをせずにただ自分の演奏を披露したいだけなら
大学に来る意味はないと先生はばっさり切り捨てていた。私も同感だ。
せっかく恵まれた環境にいるのだから、それを活用しないともったいないと思うのだけど。