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気球脱出の操縦士 評価割れる
全身7割の火傷を負っていたということなので「乗客を見捨てて逃げ出した」というより
本人も何が起こったのかわからないうちに飛び降りた形になっていたのじゃないかな。
うーん、乗客も操縦士も皆不運だったと言うしかないのではと思う。
事故の原因が特定されて、その状況が二度と起こらないように改善されれば良いけれど。

<エジプト気球爆発>脱出操縦士の評価割れる
毎日新聞 3月1日(金)17時58分配信
中東のテレビ局アルジャジーラに配信された映像では、気球は再上昇した後、(上から)黒煙が舞い上がり、バルーンが一気にしぼんだ。下降を始めてから約9秒後に地面に墜落した=AP
 【ルクソール(エジプト南部)秋山信一、カイロ篠田航一】エジプト南部ルクソールで日本人4人を含む19人が死亡した熱気球爆発事故で、操縦士という立場でありながら、消火作業をせずに脱出したエジプト人男性、モッメン・ムラードさん(28)に対する評価が割れている。ツアー客を「置き去り」にしたとの批判がある一方、自身も全身に7割の大やけどを負う状況の中、消火作業は困難だったとの見方が出ている。
 事故発生直後のムラードさんの行動について、航空当局関係者は「爆発を防ぐためにガス管のバルブを閉める作業をせず、結果的に爆発を招いた」と指摘。同様にムラードさんの不十分な事故対応を非難する声は根強い。
 一方で同僚のムスタファ・マフムードさん(27)は「顔のやけどがひどかった。事故当時は視界を失って、消火作業をしたくても不可能だったのではないか」と話した。中東通信などは2月27日、検察の初期段階の捜査では、犯罪を構成する事実はなかった、と伝えた。
 ムラードさんは現在、首都カイロの病院の集中治療室(ICU)で治療中。付き添いの妹は28日、毎日新聞に「兄は夜になると目を覚まし、ツアー客の名を呼んでいる。私は、彼に何と伝えればいいか分からない」と話した。徐々に意識を取り戻しているとみられるが、妹は「兄は私にさえ、事故の話をしようとしない」と話し、強いショックを受けている様子を証言した。
 ムラードさんは操縦歴約5年の中堅操縦士。勤務先の運航会社「スカイクルーズ」によると、操縦士になったのは08年。当時は政府がエジプト人操縦士の増員を促進していた時期だった。ムラードさんも勤務先の観光会社を辞め、無料の訓練を受けて20人乗りの気球の免許を取得。スカイクルーズには約1年前に移り、毎月の飛行時間は約15時間だった。
 今年1月には、通常45分間の飛行を30分で切り上げ、客から苦情が出たこともあったが、「強風で、あれ以上飛ぶのは危険だった」と毅然(きぜん)としていたという。ルクソールより風が強い紅海沿いのリゾート地ハルガダでも操縦の経験があり、会社の信頼も厚かった。
 気球で飛ぶのが好きで、休日明けにはよく「早く飛びたかったよ」と同僚に話していた。昨年末ごろ父親を亡くし、家族6人の生計は長男のムラードさんが担っていたという。
最終更新:3月1日(金)21時51分