フィギュアスケートGPファイナル

GPファイナル連覇で見えた羽生の黄金時代到来


採点表を見ると羽生選手がFS冒頭に跳んだ2種類の4回転ジャンプはどちらもGOEで
プラス2点以上(4Sは2.43、4Tは2.71)の高い評価を受けている。
採点基準はこうなっているそうだ。

 国際スケート連盟が明らかにしているGOEの採点基準は、以下の8項目で、その6項目以上に、あてはまっている場合、+3とされている。
1) 予想外の / 独創的な / 難しい入り
2) 明確ではっきりとしたステップ/フリー・スケーティング動作から直ちにジャンプに入る
3) 空中での姿勢変形 / ディレイド回転のジャンプ
4) 高さおよび距離が十分
5) (四肢を)十分に伸ばした着氷姿勢 / 独創的な出方
6) 入りから出までの流れが十分(ジャンプ・コンビネーション/シークェンスを含む)
7) 開始から終了まで無駄な力が全く無い
8) 音楽構造に要素が合っている

8項目のうち6項目以上に当てはまっているとプラス3の評価がつくということなので
4Tの場合、9人の審判のうち6人がこの6項目以上に当てはまると判断したということだ。
わかりやすく言うとほぼ完ぺきな4回転だったということか。

GPファイナル連覇で見えた羽生の黄金時代到来
THE PAGE 12月14日(日)15時25分配信
 グランプリファイナルの男子フリースケーティングが14日、(現地時間13日)、スペインのバルセロナで行われ、SPトップだった羽生結弦(20歳、ANA)が、自己ベストを更新する194.08点をマーク。合計288.16点で連覇を果たした。
 過去にGPファイナルの連覇を達成したのは、エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)と、パトリック・チャン(カナダ)の2人だけで、日本人として初。2位はハビエル・フェルナンデス(スペイン)、3位にはセルゲイ・ボロノフ(ロシア)が入り、SPで2位だった町田樹(24歳、関西大)は精彩を欠き、合計216.13点で6位に終わった。羽生は、4回転ジャンプをすべて成功させ、完全復活と共に黄金時代の到来を印象づけた。
 天才ほど、難解なことをいとも簡単に見せる。
 冒頭の4回転サルコウ。難易度の高いジャンプは、羽生は涼しくやった。続く、4回転トゥーループも美しく決めるとバルセロナの会場は大きな拍手に包まれた。
 元全日本2位で現在、WEBサイト、アスリートジャーナルで評論活動もしている中庭健介氏は、この2つの4回転ジャンプを「ジャンプの次元が違ったと思います。ゾクっとするような4回転ジャンプでした。GOEで、ジャッジの多くに3がつきましたが、これは驚くような評価です。ルールブックで、加点に関する基準が定められていますが、ジャッジの方にそれほどの感動を与えたということです」と絶賛した。
 羽生のジャッジ表を見ると、GOEと呼ばれ、加点される見栄え点は、この4回転サルコウには、9人のジャッジ中、4人が「+3」をつけ、4回転トゥーループには、9人中6人が「+3」と評価。それぞれ「2.43」、「2.71」と高い加点となった。
 国際スケート連盟が明らかにしているGOEの採点基準は、以下の8項目で、その6項目以上に、あてはまっている場合、+3とされている。
1) 予想外の / 独創的な / 難しい入り
2) 明確ではっきりとしたステップ/フリー・スケーティング動作から直ちにジャンプに入る
3) 空中での姿勢変形 / ディレイド回転のジャンプ
4) 高さおよび距離が十分
5) (四肢を)十分に伸ばした着氷姿勢 / 独創的な出方
6) 入りから出までの流れが十分(ジャンプ・コンビネーション/シークェンスを含む)
7) 開始から終了まで無駄な力が全く無い
8) 音楽構造に要素が合っている
 中庭氏は、「高さ、回転力、姿勢、踏み切り、着氷に、一点の乱れがなく、柔らかく流れるような美しさは、ある意味、究極の形でしょう。4回転ジャンプには、肉体的な負担と、大きな緊張がのしかかりますが、それをまったく表に見せない演技でした。そこには余裕のある大人の美しさを感じます。五輪で金メダルを獲得した羽生選手からさらに大きな成長を感じます。特に着氷後の流れは特筆すべきもので人の心をつかむようなジャンプでした」と説明した。
 最後の3回転ルッツは、着氷のミスで思わぬ転倒をしてしまったが、演技を終えた羽生は、満足そうな表情で天をみつめ、ペロっと一度、舌を出した。観客から歓声が続くと、それに応えるように右手を突き上げた。
「優勝よりも自分の演技ができたことの方がうれしい。ほぼ完璧だった。ファン、チーム、関係者のサポートがあってこの結果になった。存分に体を使える幸せを感じた。今スケートができることが一番の幸せです」
 自己最高の194.08点をマークした羽生の笑顔が弾けた。
 オリンピックチャンピオンとして迎えた2014−2015年シーズンは、腰痛でスタートが遅れ、1試合目となった11月8日の中国杯では、6分間練習中に激突して、全身5か所に大きなダメージを負い、車椅子でなければ帰国できなかった。強行出場したNHK杯でも、怪我の影響で満足な演技はできなかったが、その大怪我から、わずか1か月で完全復活。GPファイナル連覇という偉業で、遅れを取り戻したのである。
「逆境こそ楽しい」と笑う20歳は、まさに逆境を力に変えて大きく成長した。
 中庭氏は、羽生の黄金時代到来を感じるという。
「課題だったフリーの後半にも勢いがありました。前半のジャンプ成功で負担が少なくなったことも手伝ったのでしょうが、課題の克服というより、ウイークポイントが見えないようにカバーしました。怪我の影響はまったく感じませんでした。完全復活と言っていいでしょう。おそらく、次の全日本では、今シーズン挑戦するプランだったフリーでの4回転3つというプログラムに戻してくるのではないでしょうか。羽生選手は、クレバーなので、無理ならば、流れの中でトリプルルッツに変えることも可能でしょうから。彼がショートでの後半での4回転、フリーでの4回転3つという新しく誰も真似のできないプログラムを完成させれば、もう世界にライバルはいなくなるでしょう。羽生選手の黄金時代と言ってもいいのかもしれない。もう誰と戦うのでなく自分との戦いが始まりましたね」
 12月25日から長野で始まる全日本選手権(男子SPは26日)が次なるターゲット。そして、来年3月の上海で行われる世界選手権が今シーズンのゴール。怪我から完全復活した羽生が、いよいよ、新しいプログラムを武器に黄金時代を構築する。
最終更新:12月14日(日)16時25分