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決めた新技、挑戦実る=猛練習でつかんだ銅−体操・白井〔五輪・体操〕


-体操男子種目別跳馬の1回目で、白井健三が演じた新技「伸身ユルチェンコ3回半ひねり」の連続写真(合成写真)=15日、リオデジャネイロ


決めた新技、挑戦実る=猛練習でつかんだ銅−体操・白井〔五輪・体操〕
時事ドットコム
 助走中に側転をしながら4分の1ひねった後、跳馬に後ろ向きで手を付き、空中で3回半ひねって着地。わずか5秒ほどの時間に、白井が重ねてきた練習の成果が詰まっていた。「ライン内に入った実施が初めてで、とにかくびっくりしている。頑張りは返ってくるんだなと思った」。新技成功と銅メダルを同時に成し遂げ、夢心地といった顔を見せた。
 世界選手権で2度制したゆかでまさかの4位。畠田好章コーチが「いい演技をやらなきゃという気持ちが強かったのかな」と指摘したように、結果を求め過ぎて、演技が縮こまった。それを反省して臨んだこの日。「とにかく気持ち良くやろうと思った」。新技に挑む高揚感もあった。
 自身の名前が付くシライキムヒフン(伸身ユルチェンコ3回ひねり)にひねりをさらに半回転多くした新技。ひねりが武器の白井は当初「向きを変えるだけ」と気楽に考えていたが、本格的に取り組むと甘かったことに気付いた。「上半身が振り回されたり、立ってもラインオーバーになったり、別次元の跳躍だった」
 跳馬への手の付き方など一つ一つの動きを見直した。「尻落ちでもいいし、背落ちでもいいので、とにかくやってみた」。修正しては跳びを繰り返し、失敗の中から収穫を得て、少しずつ完成に近づけてきた。
 跳馬は2回の演技の平均点で争う。白井はドラグレスクと同点だったが、2回のうち得点が高い方の比較で順位が決まった。新技の1回目は全選手最高の15.833点。数え切れない試行錯誤が生かされた。
 今後、国際体操連盟(FIG)の技術委員会での審議を経て、「シライ2」と名前が付く可能性がある。「そこはFIGからのプレゼントだと毎回思っている。自分が大きい壁を乗り越えたご褒美が技の名前」。認められれば、新技に挑み続ける白井へのプレゼントは五つ目になる。
(2016/08/16-08:14)