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ノーベル医学生理学賞、大隅良典・東工大栄誉教授に


-ノーベル医学生理学賞の受賞決定を受け、都内で開かれた記者会見に臨む、東京工業大学栄誉教授・大隅良典氏(2016年10月3日撮影)。(c)AFP/Toru YAMANAKA


ノーベル医学生理学賞大隅良典・東工大栄誉教授に
2016年10月03日 22:21 発信地:ストックホルム/スウェーデン
AFPBB
【10月3日 AFP】(更新、写真追加)スウェーデンカロリンスカ研究所(Karolinska Institute)は3日、2016年のノーベル医学生理学賞(Nobel Prize in Physiology or Medicine)を、東京工業大学(Tokyo Insitute of Technology)の大隅良典(Yoshinori Ohsumi)栄誉教授に贈ると発表した。受賞理由は「細胞の自食作用(オートファジー)の機構の解明」だった。
 オートファジーは細胞生理学の基本的な過程で、傷ついた細胞の秩序だった分解と再生に不可欠なプロセス。人間の健康や病気の発症に大きな影響を与えるとされる。一方、オートファジーの異常はパーキンソン病や糖尿病を引き起こす。
 細胞が自らの生体物質を膜組織で包み込み、リソソームと呼ばれる器官に運んで分解するオートファジーの能力をもつことが最初に観察されたのは、1960年代。だが、選考委員会によると、「この現象の研究は難しく、1990年代初めに大隅氏が酵母を用いた一連の素晴らしい実験でオートファジーに必要な遺伝子を特定するまで、ほとんど知られていなかった」という。
 委員会は、大隅氏の発見によって「細胞が自らの生体物質をリサイクルする仕組みの理解において、パラダイムが一新された」と述べた。また「オートファジー遺伝子の変異は疾患を引き起こす可能性があり、がんや神経疾患を含むいくつかの状態にオートファジーのプロセスが関与している」と説明した。
 大隅氏はNHKに対し「研究者としてこの上なく光栄なことだと思いました」と述べるとともに、「人がやらないことをやりたいというのが私の信念でした」と語った。
(c)AFP