vol.11 バレエ「第11回世界バレエフェスティバル」ガラ

「第11回世界バレエフェスティバル」ガラ
出演:シルヴィ・ギエム、マニュエル・ルグリ、ジル・ロマン他

世界バレエフェスガラです。今回は4時間半プラスアルファの長時間でした。
ガラ公演は最近恒例の「ファニー・ガラ」がおまけでつくのです。そしてプレゼント
(ダンサーのシューズにサインしたものを入場券の半券でくじをひく)があり、
最後は手ぬぐい投げで締めます。
今回の席は上手のほぼ端っこ。上手奥は見えない状態です。この席だと、逆に
下手側が見切れて*1しまって、ちょっとあややでした。はけたダンサーや舞台さんが
時折見切れてましたね。


・「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」レティシアオリヴェイラ&ズデネク・コンヴァリーナ
バランシンを無難にこなした感じ。きれいでしたよ。若さでおどってたかな。CC2回。
・「水に流して」アニエス・ルテステュ&ジョゼ・マルティネス
ピアフの歌にイヴァン・ファヴィエ振付。
ハラショー!!あの気品あふれる二人がこんなにコミカルなダンスを踊れるとは
思わなかった。おさげのアニエスがかわいい。また観て見たい作品。カーテンコール
までユーモアたっぷりになりきった二人だった。CC3回。
・「ライモンダ」ガリーナ・ステパネンコ&アンドレイ・メルクーリエフ
Aプロと同じ。ちょっと疲れてるのかな?Bプロで踊ったカルメン、私は初日に観た
ので3曲見られたんだけど、あとの日は短縮版だったそうです。CC2回。
・「レ・ブルジョワ」フィリップ・バランキエヴィッチ
ジャック・ブレルの歌にコーウェンベルグ振付。すごくいい。歌詞と振りも
一致してたし、何より表情がいい。すごく役者だった。こんな風に踊れるとは
正直思わなかった。眼鏡もよく似合ってたし。新たな発見。こういう掘出しもの
があるからフェスはやめられないのです。CC3回。
・「海賊」マイヤ・マッカテリ&デヴィッド・マッカテリ
珍しくメドゥーラが紺のチュチュだった。きれいな脚のラインがまた見られて
嬉しい。フェッテは前半ダブルだったものの、後半はシングルのみでやや盛り上がりに
欠けた。あまりテクニックをみせつけるタイプじゃないように思うので、違う演目
のほうがよかったのではないかしら。CC2回。
<intermission>
・「眠れる森の美女」ディアナ・ヴィシニョーワ&ウラジーミル・マラーホフ
ワガノワバレエ学校出身らしい、お手本どおりのきちんとした踊り。マラーホフ
王子様ぶりも健在。サポートもいいし、バランスもいい。けど、ジャンプなどでは
やはり衰えが見られたのが残念。あのすばらしいバロンはどこへ?CC3回。
・「作品100−モーリスのために」アレクサンドル・リアブコ&イヴァン・ウルバン
サイモン&ガーファンクルの歌にノイマイヤーが振付。今回のフェスはシャンソン
が多いと思ったけど、S&Gときましたか。ブックエンドのテーマ〜フランス語のせりふ〜
明日に架ける橋。ノイマイヤーが長年の盟友モーリス・ベジャールへのオマージュとして
1996年のベジャール70歳を記念しての公演で初演。男性二人の踊りはノイマイヤーと
ベジャールと思ってみてよいのだろうか。CC3回。
・「くるみ割り人形」イリーナ・ドヴォロヴェンコ&ホセ・カレーニョ
レフ・イワノフ振付となっているけれど、そううたってよいものかというほど
振付に手が入っていてまったく別物かと思った。カレーニョの衣装は手抜き?
王子の振りにはブルーバードのようなドゥシュ・ドゥスが入っていたし、
二人とも回転いれまくり。こういうくるみはあまり観たくないなぁ。お祭りだから
許されることだとは思うけど。
・「エスメラルダ」タマラ・ロホ&イナキ・ウルレザーガ
アダジオからタマラはピルエットを3回、4回と決める。そしてアラベスクのバランスでは
なんと8秒以上のロングバランス。イナキが差し出した手を取らずにフィニッシュ。
ヴァリエーションではピルエットをなんと6回転(正確には5回転半)もしちゃいました。
そしてコーダのグラン・フェッテではシングル-アラスゴンド・トゥール-トリプルと
前半を沸かせ、後半はシングル-ダブルで止まらずにピケ・アンドゥダンに持っていく。
観客は大いに沸きました。テクニックを見せるという点では今日一番のPDDだったかな。CC3回。
<intermission>
・「白鳥の湖〜第2幕より」シルヴィ・ギエム&ニコラ・ル・リッシュ(東京バレエ団
まずギエムが細い!チュチュを着るとその細さが際立つ。そしてすごく繊細だ。
こんなに情感豊かでたおやかなオデットは観たことがない。はじめの王子への恐れ、おののき。
やがて信頼、そして愛して身を任せる。表情、指先、足先、目線の一つ一つがオデットだった。
まるで夢の世界のようにただただ美しかった。CC4回。
・「些細なこと」ポリーナ・セミオノワ&フリーデマン・フォーゲル
梅林茂音楽、クリスチャン・シュプック振付。世界初演。この二人のために創られた作品。
セミオノワはもしかしたら第二のギエムになれるかもしれない。表現力はまだまだだけど
(当たり前だ)その身体能力はずば抜けている。それを証明して見せた。良いコレオグラファー
に恵まれれば、きっと稀有なダンサーとして花開くでしょう。CC3回。
・「スターズ・アンド・ストライプス」アリーナ・コジョカル&ヨハン・コボー
スーザの音楽にバランシンが振付。バランシン作品ももう古典なのかもね。これだけ沢山の
ダンサーが踊るということは。内容はとても良かった。ちょっとコミカルで笑いを誘った。
とにかく元気の良いバランシンだった。若さがはじけるような踊りだった。CC3回。
・「新世界」レティシアオリヴェイラ&ズデネク・コンヴァリーナ
チャイパとはまったく違う世界。ドボルジャークの「新世界」エディー・トゥーサン振付。
ちょっと冗長だった感が否めない。赤とオレンジの照明はやはり夕日をイメージしたもの?
どうしてもこの曲は「♪遠き〜山に〜日は落ちて〜」と歌ってしまう。CC2回。
・「白鳥の湖〜黒鳥のパ・ド・ドゥ」ヴィエングセイ・ヴァルデス&ロメル・フロメタ
バランスと回転が得意なペアだということは良くわかった。でもここまで振付を変えるのは
いかがなものかと思う。バランス技入れすぎだし。PDDのみという状況でもきっちりキャラクター
設定をして世界を作ろうとしていたのは評価できる。コーダのグラン・フェッテは
4回転から始まってダブルを入れつつ最後も4回転で締めくくるというもの。でも音楽を
無視しての力業はどうかと思う。CC3回。
<intermission>
ここで世界バレエフェスティバル30周年を記念してのセレモニー。
・7回出場のマニュエル・ルグリに記念品贈呈
・同じく7回出場のジル・ロマンに記念品贈呈
・今回でフェス出場をやめると宣言したアレッサンドラ・フェリに記念品贈呈
・オケを指揮しているアレクサンドル・ソトニコフ氏に記念品贈呈*2
ここからプレゼント抽選会。チケットの半券で引き当てるというもの。女性ダンサーの
ポワントと男性ダンサーのシューズにそれぞれサイン入りでプレゼント。引いたのは
この企画をまとめてくれているというマラーホフ。残念ながらあたらず。
そしてバレエとはあまり縁がないけどデイヴィッド・ベッカムの名を冠した香水が発売
されるとかで10人にプレゼント。引いたのはマラーホフのパートナー、ヴィシニョーワ。
こちらも残念ながらあたらず。
そしてプログラムに戻ります。
・「椿姫〜第2幕のパ・ド・ドゥ」オレリー・デュポン&マニュエル・ルグリ
当初予定されていたのは「ソナチネ」という作品。オレリーの脚の具合が悪く、急遽
Bプロと同じ演目でしのいだそうです。気のせいかBプロのときよりも病弱さが出ていて
良かったけど、転んだりしないかとはらはらした。生ピアノ。CC3回。
・「アダージェット」ジル・ロマン
マーラーの「アダージェット」(ヴィスコンティヴェニスに死す』のテーマ曲にも使われた)
ベジャールが振付。なんでしょう。もう異空間。ジルが求めて手を伸ばすたびに握り返して
あげたくなる。求めても求めてもつかめない。そしてついに確かに彼はつかんだ。やっとつかんだ
ものを、最後にひとふきで吹き飛ばしてしまう。哀愁ただよう作品。観るのは何回目だろう。
何回見ても感動する。いつの間にか呼吸をするのを忘れてしまっている自分がいる。CC4回。
・「ロミオとジュリエット〜バルコニーのパ・ド・ドゥ」アレッサンドラ・フェリ&ロバート・テューズリー
大好きなマクミラン版。階段の位置は上手側。このセットじゃないと。そしてフェリの可憐なこと。
どう見ても10代の女の子にしかみえない。華奢でかわいくて、演技もうまい。彼女のために
この役はあるようなものだと思う。また見せてくださいね。CC4回。
・「ドン・キホーテ」ルシンダ・ダン&マシュー・ローレンス
お祭りのドンキにしては基本に忠実で割りとおとなしめ。多少振りが違ったのはオーストラリア版
ですかね。変にテクニックばっかり見せ付けられるとこういうシンプルなのが見たくなります。
コーダのグラン・フェッテは扇を持ったままでした。CC3回。


普通ならここでフィナーレなんですが、音楽がなっても幕があがらない。
ソトニコフさん、「ササキサーン、ドウイウコトデスカ?」(もちろん予定通り)
ここからがお楽しみ、「ファニー・ガラ」の始まりですよ。(音はすべてテープを使用)
・「ロミオとジュリエット」タマラ・ロホ&ウラジーミル・マラーホフ
もちろんタマラがロミオでマラーホフがジュリエットです。
タマラはドンキのサンチョ・パンサのようないでたちで登場。
マラーホフはマクミラン版を下敷きにしてましたね。相変わらずきれいなポワントさばき。
拍手も一度や二度じゃありませんでした。
・「白鳥の湖〜黒鳥のヴァリエーション」フリーデマン・フォーゲル
衣装もすごかったけど、踊りも確かです。こんなに楽しい黒鳥はみたことない。
・「エスメラルダのヴァリエーション」ロメル・フロメタ
すごかったです。お茶らけていながらも押さえるところはきちんと押さえる。
タンバリンの使い方も見事でした。
・「ドン・キホーテ〜バジルのバリエーション」ヴィエングセイ・ヴァルデス
衣装はバジルでしたけど、黒のポワントはいてました。でも魅せる。
ピルエット5回転きれいに決めてましたからね。さすがです。
・「スパニッシュ」ジョゼ・マルティネス
前半はおちゃらけていて「オンガク、オネガイシマース」と何度怒鳴っても音が出ない。
(これも演出)そして巨大な扇子をばさっと広げる。途中で衣装を脱いでシャツとズボン姿
になり、見事なスパニッシュダンスを披露、と思いきや携帯が「ピルルルル」「モシモシ?」
スペイン語風な(でもめちゃくちゃ)会話をして、おもむろにまたダンスに戻ります。
終わってお辞儀をしているとまた電話。しゃべりながら脱ぎ散らかした衣装を片付けるという
エンディング。ジョゼはお茶目だけどやっぱり端正なんだよなぁ。
・「カルメン」ポリーナ・セミオノワ&アンドレイ・メルクーリエフ&ホセ・カレーニョ
セミオノワのカルメン姿に「おおっ」と場内が期待で盛り上がったところカレーニョの
カルメンにつきとばされる。メルクーリエフはパンクなドン・ホセ。カレーニョもポワント。
結構頑張ってましたよ。良く笑いました。


そしてフィナーレ。全員で挨拶。カーテンが再びあくと、おまちかね「手ぬぐい投げ」です。
私も頑張ってなんとか1個ゲット。うれしいな。
カーテンコールがすべて終わった時点で9時ごろ。のんびり化粧室なんか並んで外に出たら
出待ちの人が尋常じゃない。後ろのほうでなにも見えないよ〜。
後のほうになって少しすいてきたころ、一生懸命差し出す私のパンフレットを受け取って
サインしてくれる人が現れました。ポリーナ・セミオノワです。顔ちっちゃ!あんなに
顔が小さい人をみたことがありません。うれしいな。大切にします。これからも応援するね。
さっさと出ていればもっと沢山サインもらえたのかな。でもいいや。これを大切にします。
そういえばAプロでもBプロでも品切れで買えなかった「出演者のサインがプリントしてある
Tシャツ」やっと買えました。\2,500を高いと見るか、安いと見るか。そういえばガラの
プログラムは特別販売で\500でした。


やはりガラはプラチナチケットらしく、会場前には「チケット譲ってください」のカードを
持った人が沢山いました。当日券も完売。でもネットでは売れなくて残ったりしてたのですよ。
(オークションですけど)そういうお席はどうなったのかな〜なんて気になりました。


さて次回はまた3年後です。行かれるかな。その頃私は何をしているのだろう。

*1:袖幕の中などが客席から見えてしまうこと

*2:ソトニコフ氏は前回、故ミシェル・ケヴァル氏と交代で棒を振った。それまでは白タキでおなじみケヴァル氏が振っていた。ケヴァル氏の自宅にも記念品を贈ったそう