vol.12 バレエ「ジゼル」

第11回世界バレエフェスティバル全幕特別プロ「ジゼル」全2幕
出演:ディアナ・ヴィシニョーワ、ウラジーミル・マラーホフ東京バレエ団

大好きな作品、ジゼルです。以前発表会で全幕上演したこともあり、
振付にも目を凝らしてきました。
主な配役:)
・ジゼル:ディアナ・ヴィシニョーワ
・アルブレヒト:ウラジーミル・マラーホフ
・ヒラリオン:木村和夫
・バチルド姫:井脇幸江
・公爵:後藤晴雄
・ウィルフリード:森田雅順
・ミルタ:大島由賀子


えっと、ペザントが配役(↑)に載ってませんが、なぜかパ・ド・ドゥではなく
パ・ド・ユイット(8人の踊り:男女4ペア)になってました。
普通にPDDをみたかったなぁ。
ジゼルの衣装がピンクなのは珍しい。普通はブルー系が多いよね。でも肩を出した
パフスリーブは正直どうなのって思った。なんで肩を出す必要があったのかが判らない。
髪もハーフアップにして襟足でひとつに縛ってたらしてた。これも珍しいよね。
最初から狂乱の場かと思っちゃうよ。ん〜フルアップの方が良かったと思うけどな。
2幕では自前らしいジゼル(ウィリ)の衣装が他のウィリたちと違いすぎて違和感。
普通のウィリはロングのロマンチック・チュチュで袖はめてた、いわゆる「ウィリ」
のスタイル。でもヴィシニョーワはまずスカートがチュールの上にオーガンジー
のってて質感が違う。そして袖がはめる袖じゃなくて胸から布がつながってひらひら
してた。それだけみるときれいなんだけど、一緒に踊ると違和感がありますね。
あと意外とポワントがうるさかった。1幕はいいけど、2幕は妖精なんだから、
足音立てず、かつ軽やかに踊ってくれないと。
マラーホフはさすがに王子様でした。気品があった。でも浮気な男じゃなくて
心からジゼルを愛してるアルブレヒトっていう解釈だったから、全幕通してうっとり
見ていられた。1幕はほんとにラブラブだったし、ちょっとの間も離れたくないって
いう細かな演技がすごくよかった。そして正体がばれてバチルド姫の手にくちづけ
するところがいやいや感があって、「したくないけど礼儀としてしなきゃ」っていう
感じですごくよかった。そこに割ってはいるジゼルの表情も良かった。
狂乱の場ではウィルフリードにとめられて何もできずにじれったいアルブレヒト
すごく良かった。そしてジゼルの死。ヒラリオンへの怒り。悲しみの表現が痛いほど。
2幕ではジゼルがでてきてアルブレヒトとすれ違うところがいい。一瞬届いたと思った
その手が空をつかんでジゼルはいない。戸惑うアルブレヒト。そしてまた追いかける。
最後のほうになって散々踊らされて疲れ切ってしまったアルブレヒトは演技だったのか
本当に体力的に無理があったのか疑問なところ。回転足りてなかったし。でも演技として
それは生きてたからいいのかも。肉体的な衰えは隠せないけど、でもやっぱりマラーホフ
は生まれながらの王子様という感じ。
ヒラリオンの木村さんはすごく良かった。もともと技術的にはすぐれた人で大好き
(眠りのブルーバードとか最高)なんだけど、演技もいけることが良くわかった。
バチルド姫の井脇さんはちょっと冷たいかな。つんけんした姫っぽくて。それじゃあ
アルブレヒトも浮気(本気?)するよなって感じで。ミルタで見たかったなぁ。
コールド(群舞)は相変わらずどたどたうるさい。なんで東京バレエ団はいつも
コールドがうるさいんだろう。ソリストはどんどん育ってるのに?
パ・ド・ユイットに出ていた平野玲(りょう)さんが注目。男性ダンサーの割りに
しなやかで柔軟性のある身体だった。ジャンプの着地なんかでときどき5番が乱れる
けど、これからどんどん伸びると思う。見守っていくよ。