浮世絵

NHKハイビジョン特集「幻の色 よみがえる浮世絵」
浮世絵の版木が大量に見つかったのだそうです。
通常は版木は繰り返し使うもので、(刷った後)その絵を全部削って平らな
板に戻してまた新たな絵を彫って使ったそうです。最後の最後は薪などと
して火をたくのに使ったので、現存しているものは殆どないのだとか。
それが発見され、当時の技法の解明と刷られた当初の色の再現に取り組んだ
(浮世絵の色は退色のスピードがとても速く、刷るそばから色褪せると
言われている)番組でした。


以前からずっと不思議だったのですが、版木は複数作って数色を刷り重ねて
表現しますよね。下絵一つでどうやって版分けしたのでしょう。
トレース台どころか窓ガラスだってない時代ですよねぇ。下絵は貼り付けて
彫ってしまうし。主版を彫り上げたあとに刷って、それを版分けするための
下絵にするのかしら?


今はなくなってしまった版画用の紙(楮(こうぞ)に米粉が少量入っているそうです)
を再現するのに専門家が二ヶ月もかかったり、絵の具用の紅(今は口紅と
食紅しか作られていない、紅花から作った色)を再現するのに17回(色)も
紅色を作ったり、とにかく手間と時間がかかっています。


刷り上った絵はとても色鮮やかなものでした。少し煤けたような色が浮世絵
かと思っていたらとんでもない。侘び寂びなんてけっとばせ!
サイケデリックでパンキッシュな色遣いにはびっくりです。
今回得られたデータを使うと、他の浮世絵も当時の色が再現できるそうです。
番組ではCGでそれを見ることが出来ましたが、どれも浮世絵のイメージを
覆す色遣いでした。両方が見られる展覧会があったら行ってみたいな。