NHK 生活ほっとモーニング

シリーズ「命を守れ〜自殺者3万人 何が必要なのか〜」

(1)最後の砦 精神科医療の今 9月9日(水)
11年連続で3万人を超す日本の自殺者。その多くが、誰にも相談できず人知れず死を選んだと考えられてきました。ところが、NPOが自殺者500人の遺族や知人に聞き取り調査を行ったところ、72%は亡くなる前に精神科や自治体の相談窓口などを訪ねていたことが判明したのです。専門機関や相談窓口は、なぜ彼らのSOSに応えられなかったのか?一日目は自殺者の半数が直前に訪ねていた「精神科」の課題について考えます。東京にある精神病院では1日70人の外来患者を、一人の医師で診ています。患者一人の受診時間はおよそ5分、「カウンセリングに時間を割きたいが、ゆとりがない」と医師は言います。そして患者の受診の間隔も長期に空くことから、大量の薬が処方されることもあります。そして、それを一度に飲んで患者が自殺を図るという事態も生まれています。通院している患者の地域にサポートセンターを配置し、患者を見守るシステムを作った沼津市の病院なども取材し、どうすれば精神科が自殺を防ぐ砦(とりで)となるのかを考えていきます。

                                                                                                                      • -

(2)ゲートキーパーを作れ! 9月10日(木)
2日目は、精神科に頼るだけでなく、地域で自殺防止・予防に力を入れていこうという取り組みをみつめます。東京・足立区では、市役所を訪れた人が経済的な問題、家庭や健康面などで精神的に追い込まれていないか、全職員で目を光らせることを始めました。自殺の予兆を見逃さないようにするため、職員全員が「ゲートキーパー研修」を受講し、対応しています。また、秋田県能代市では、地域で高齢者の自殺が多いことに着目。保健師が中心となって日々の健康診断や老人会の健康チェックなどから、うつ病の傾向があるひとなどを発見するように心がけています。予兆があると判断した相手には、電話相談や在宅訪問を頻繁に行い、早め早めに悩みや不安の解消に努めています。地域がゲートキーパーとしての役割を果たしている例を紹介しながら、より良い自殺防止の体制を築くには何が必要なのか考えます。