NHK ハイビジョン クラシック倶楽部

「中村 紘子 デビュー50周年記念 ピアノ・リサイタル」
中村紘子さんの演奏は一回ホールで聞いたくらいでCDなどでもあまり聞いたことがなかった。
最後にショパンの幻想即興曲を演奏したのだけれど、これがとても良かった。
いきなり速いテンポで始まり、次の節ではやや落としてしかし力強く、その緩急をつけた演奏は
とても心地よかった。
川に流れる一片の木の葉が時に急流に巻き込まれ、ときにたゆたい、渦にのまれてくるくると
回っているさまのようだった。
またそれは心の中が嵐のように荒れたり、穏やかに凪いだり、しかしその下では抑え込まれた
激しい感情が地下のマグマのように渦巻いている様にも似ていた。
以前から幻想即興曲は好きな曲であったが、彼女の演奏を聞いてますます好きになった。
これをホールで聞いた人はどう思ったのだろう。自分も行きたかった。