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アップルVSFBI 深まる対立、個人情報保護かテロ対策か


どちらも大切。それだけに難しい。
最終的にどちらの結論になったとしても、ここで交わされた議論は無駄にはならない。
どうなることか。

アップルVSFBI 深まる対立、個人情報保護かテロ対策か
産経新聞 2月21日(日)7時55分配信
 ■司法省、強制ロック解除申し立て
 【ワシントン=小雲規生】昨年12月の米カリフォルニア州での銃乱射テロの容疑者が使っていたスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」にかけられたロック機能の解除をめぐる、情報通信大手アップルと連邦捜査局FBI)との対立が波紋を広げている。司法省は19日、アップルにロックの即時解除を強制するよう求める申し立てを同州連邦地裁に起こした。ただ、IT業界などでは解除を拒否するアップルに理解を示す声も目立っている。
 ◆トランプ氏「不買だ」
 FBIは犯行の背景や協力者を明らかにするため、アイフォーンのロック機能を解除して保存データを入手しようとしているが、間違った暗証番号を何度も入力すると、データが自動消去される設定があり、ロックを解除できていない。カリフォルニア州連邦地裁もアップルにFBIへの協力を命じたが、アップルは16日、「すべてのアイフォーンのロック解除につながる」として協力を拒否する声明を発表した。
 しかしオバマ政権にとってテロ防止は最重要課題のひとつだ。アーネスト大統領報道官は17日の記者会見で、「FBIは今回のテロ犯のアイフォーンについてのみ協力を求めている」と説明し、アップルの対応に不満を表明。司法省は19日、アップルの対応は「ブランド戦略に基づく判断だ」と切り捨てた。
 大統領選の共和党候補指名争いでトップを走る不動産王、ドナルド・トランプ氏も19日、同党予備選を控えたサウスカロライナ州での集会で「アップル製品をボイコットすべきだ」と主張。集会後はツイッターに「これからはサムスン電子の製品だけ使う」とも投稿し、アップルにFBIの捜査への協力を迫った。
 ◆グーグルCEO擁護
 一方、IT企業側からはアップル擁護の声も出る。IT大手グーグルのスンダル・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は「顧客のプライバシー侵害になる」としてFBIを批判。米紙ウォールストリート・ジャーナルは19日付の社説で、アップルがFBIの要請に応じれば、全米の司法当局が同様の要請を行う可能性を指摘した。
 また、アップル製品は世界中で使われていることから、ロック解除が国際的に「悪用」されるとの懸念も出ている。大統領選で民主党からの候補者指名を目指すヒラリー・クリントン国務長官は18日、悪用する可能性がある国として「中国、ロシア、イラン」の名前を挙げた。
 ロイター通信によると、カリフォルニア州連邦地裁は3月22日にアップルとFBIから意見を聴取すると表明しており、対立は長引きそうだ。
 ■情報収集 過去にもトラブル
 米国では2015年5月末に失効した愛国者法や、続いて成立した米国自由法などに基づき、情報機関が電話会社やIT企業から通話履歴や電子情報を収集しており、政府による国民監視につながると批判されてきた。
 14年には国家安全保障局(NSA)が秘密情報収集活動「プリズム」の一環として、08年にIT大手ヤフーに利用者の個人情報開示を迫っていたことが明るみにでた。
 ヤフーは違憲との訴えを起こしたが敗訴し、情報提供を強いられた。
 今回、アップルは捜査に協力するには新たな基本ソフト(OS)を作って問題のアイフォーンに導入する必要があると主張。これが前例となれば、政府が利用者のメッセージの傍受や居場所の追跡などを行うソフトの開発をアップルに強いることもできるようになるなどと反発している。(ワシントン 小雲規生)
最終更新:2月21日(日)8時44分