「羊を数える入眠法」が日本人に不向きな理由


-羊を数えていたら逆に目が冴えてきた…なんて経験がある方もいるのでは?(写真:osame / PIXTA


「羊を数える入眠法」が日本人に不向きな理由 ちっとも眠れない日は布団から出てしまおう
東洋経済online
2016年09月26日
羊を数えるとよく眠れる。眠れない夜に誰しも一度は聞いたことのある、この方法。しかし、科学的に効果が実証されているのかを知っている方は少ないでしょう。また、実際に試した方の声を聞いてみても、「眠れた」「眠れない」の感想はバラバラです。
“羊を数えるとよく眠れる” は本当なのか。今回はその決着をつけるべく、“羊” にまつわる所説を集めました。

どうして羊を数えると眠れるの?

そもそもなぜ「羊を数えると眠れる」と言われるようになったのでしょうか。特に有力と言われる3説を見ていきましょう。
1.“sheep”と“sleep”の自己暗示説
「眠れないときに羊を数えると良い」という方法の発祥の地はイギリスと言われています。現地では “one sheep, two sheep……”と数えていくのですが、この「羊」の意である“sheep”(シープ)が、「眠り」の意である“sleep”(スリープ)と音感が似ており、脳が「眠れ」と言われているように錯覚するとのこと。
ことの信ぴょう性はともかく、この説はあくまで英語で羊を数えたときの話。日本語で「羊が一匹、二匹……」と数えても効果がないということだけは言えそうです。
2.「重要なのはイメージ」説
日本ではあまり馴染みがありませんが、発祥地であるイギリスをはじめとした英語圏では、羊は人々にとってとても身近な動物でした。この牧歌的で癒し効果溢れる羊を思い浮かべることで、英語圏の人々はリラックスでき、眠りにつきやすくなった、というのが2つめの説です。
とはいえ、あまり馴染みのない羊を日本人が一生懸命思い浮かべようとしても、かえって目が冴えてしまいそう。残念ながら「イメージ説」から考えても、日本人には当てはまらない方法のようです。
3.「単純作業は脳を落ち着かせる」説
羊を数えるのは、いわば単純作業。一般に単純作業をすると、脳を落ち着かせる作用のあるアルファ波が出てボーっとしてくるため、結果的に眠りやすくなると言われています。
3説の中でも極めて科学的で納得感のある説ではありますが、「イメージ説」のとき同様、日本人にあまり馴染みのない羊を数えると、脳が活性化し、かえって眠れなくなってしまいます。どうやらこの説も「日本人が羊を数えると眠くなる」を証明することは難しそうです。

では、どうすれば?

有力と言われる3つの説を検証してきましたが、「羊を数える方法は日本人には効果なし」という結果に落ち着きそうです。
しかし、睡眠不足による疲労の蓄積は待ったなし。少しでも眠りやすくなるためにはどうしたら良いのでしょうか。そこで、突然寝つけなくなった夜にすぐに実践できる方法を3つご紹介していきます。
1. 強く息を吐く腹式呼吸をおこなう
眠れないときに積極的に試したい方法の1つめは「腹式呼吸」。
準備として、布団の上でパジャマを着るなど、いつでも寝られる状態にしておくことがポイントです。準備ができたら、以下の4ステップで腹式呼吸をしてみましょう。
(1) 仰向けになり、足は肩幅程度に開き、両手は上に向けて両脇におく
(2) ゆっくりと息を吐く
(3) 吐ききったら、できるだけ細く長くゆっくりと柔らかく息を吸う
(4) (2)(3)を3分間ほど繰り返す
この腹式呼吸を試していけば、自然と寝つきやすくなるはずです。
2. 心のモヤモヤを書き出す
気がかりなことや心配事があるせいで眠れない夜もあると思います。そんな夜には紙に心のモヤモヤを全て書き出してしまいましょう。思う存分、書ききったらノートを引き出しにしまい、「はい、今日は終わり」と声に出して終了です。
また、書き出すときは必ず紙とペンを使うのも大事なポイント。スマホのメモを使ってしまうと、液晶から発せられるブルーライトで目が冴えてしまって逆効果です。
3. 布団から出る
眠れない夜は何とかして寝つこうと躍起になってしまいがちですが、30分経っても眠れないときは、思い切って布団から出てしまうのが賢明です。布団から出た後は「ホットミルクを飲む」「音楽を聴く」「ストレッチをする」など、リラックスできることをおこないましょう。
このときもスマホやデジタル機器をいじるのはやめて、努めてゆったりした時間を過ごすようにしてください。

「その場しのぎ」の策に過ぎない!

羊を数える方法に代わる、眠れる方法をご紹介してきましたが、今回ご紹介したのは即席で対応できる、いわば “その場しのぎ” の方法。その日は眠りにつけたとしても、根本的な解決にはつながりません。
慢性的な不眠を解消する上で大事なのは、日ごろの生活習慣を正すこと。眠れない夜が続くときは「眠れないときに試したい、眠くなる方法」を実践してみてくださいね。