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「古代詩人と一緒」=アカデミー、ディラン氏創作を評価−ノーベル文学賞


-13日、ストックホルムでのノーベル文学賞の授賞発表会見で、米シンガー・ソングライターボブ・ディラン氏への授与決定を受け、感嘆の声を上げる記者たち(EPA=時事)


「古代詩人と一緒」=アカデミー、ディラン氏創作を評価−ノーベル文学賞
時事通信
 【ロンドン時事】今年のノーベル文学賞に決まった米シンガー・ソングライターボブ・ディラン氏は、100年以上にわたる同賞の歴史の中で、歌手として初めて受賞することになった。スウェーデン・アカデミーのサラ・ダニウス事務局長は13日、発表に際し、ディラン氏がつむぎ出す詩の数々は、古代ギリシャの詩人ホメロスらの創作活動と共通していると高く評価した。
 事務局長は、古くから詩人は、自身の作品が単に読まれるだけでなく「(朗読などによって)聞かれること、実演されることを念頭に創作を行ってきた。ディラン氏も同じだ」と指摘した。
 授賞発表の会見では、集まった記者団が意外感もあって一瞬息をのんだ後、長い拍手を送った。事務局長は、ノーベル文学賞の選考対象の範囲が拡大されたわけではないと強調した上で、ディラン・ファンの間で名作と呼び声が高い1966年のアルバム「ブロンド・オン・ブロンド」を取り上げ「見事な詩作が示された非凡な例だ」と激賞した。文学作品として歴代の授賞と同様に評価した点は変わらないというのが、アカデミーの立場だ。
 ただ、いわゆる「文学」とは別の世界で名声を確立したシンガー・ソングライターへの文学賞の授与は、格式を重んじる人々からの批判や論争を招く可能性もありそうだ。事務局長は「そうならないことを望む」と笑顔で述べている。
(2016/10/13-22:41)