訃報

プミポン国王死去=在位70年、現役君主最長−親日家、皇室とも親交・タイ


-集まった人々に手を振るタイのプミポン国王=2009年12月、バンコク(AFP=時事)


プミポン国王死去=在位70年、現役君主最長−親日家、皇室とも親交・タイ
時事通信
 【バンコク時事】タイのプミポン・アドゥンヤデート国王(ラマ9世)が13日午後3時52分(日本時間同5時52分)、首都バンコクの病院で死去した。88歳だった。王室事務局が発表した。死因は明らかにされていないが、感染症などで治療を受けていた。70年もの長期にわたった在位中、国民の厚い信頼と絶大な人気を誇った国王の死去で、タイ社会は重大な転機を迎える。
 死去を受けてプラユット暫定首相がテレビ演説し、新国王に長男ワチラロンコン皇太子(64)が即位すると発表した。今後、憲法と王室典範に基づき即位に向けた手続きが進められる。
 プラユット氏は演説で、服喪期間を1年とし、国民に娯楽活動を30日間自粛するよう要請。「社会の平和を維持するために助け合い、何者にも混乱を引き起こす機会に利用させてはならない」と団結を訴えた。
 プミポン国王は1946年、兄のラマ8世の急死を受けて18歳の若さで国王に即位。70年間に及んだ在位は世界の現役君主の中で最も長く、18世紀に始まった現チャクリ王朝の歴代国王の中でも最長だった。
 在位中は国内を精力的に視察し、国民生活向上を目的に、農村開発など数多くの社会開発事業を自ら指揮。民主化を求めるデモ隊に軍が発砲し、多数の死傷者が出た1992年の「5月流血事件」では調停者として事態収拾を図るなど、国家の安定に大きく寄与し、国民から深く敬愛された。
 ここ数年は健康状態が悪化。2006年に腰の手術を受け、07年に虚血症や大腸の炎症で約1カ月入院。09年9月には発熱などのため入院し、13年8月に退院するまで入院生活は4年近くに及んだ。
 その後も体調が優れずに入退院を繰り返し、15年5月末以降バンコクの病院に入院。公の場に姿を見せる機会は、ほとんどなくなっていた。
 親日家として知られ、63年5月、国賓として日本を公式訪問。06年6月の即位60周年祝賀行事には天皇皇后両陛下が出席された。秋篠宮さまが鳥類研究のため頻繁にタイを訪れるなど、皇室との関係も深かった。
 14年5月のクーデターで実権を掌握した軍事政権は、今年8月の国民投票で新憲法案が承認されたのを受け、民政復帰に向けた総選挙を17年中に実施する方針だが、国王の死去はこうした政治日程にも影響を与える可能性がある。
(2016/10/13-22:55)