vol.8 バレエ「愛、それはダンス」

モーリス・ベジャール・バレエ団2006年日本公演「愛、それはダンス」
振付:モーリス・ベジャール、音楽:I.ストラヴィンスキー、W.A.モーツァルト
出演:モーリス・ベジャール・バレエ団

今日の公演はガラ公演のように小品をたくさん上演した。
けど、一つ一つの作品が完全に独立しているわけではなくて、前の作品の
登場人物が後の作品にも絡んだりしてくるという、面白い演出だった。
音楽も器楽曲ならストラヴィンスキーに始まりベルリオーズマーラー
グノー、モーツァルト、J.シュトラウスなどなどあり、民族音楽もあり、
声楽曲もあり、シャンソンもあり、ロック(クイーン、U2)もありと盛りだくさん。
ダンスはいかにもベジャール風味が満載で楽しめました。
クラシカルな役柄を作っても(女性ならアップヘアにロマンティック・チュチュに
トウ・シューズ)、踊りの中にひょいとベジャールらしい振り付けがのぞきます。
歌の入った曲で踊るのも古典作品とは違うところですね。
ダンサーによってせりふが叫ばれたりもしました。詩の一節だったり、戯曲のせりふ
だったり。そんなところも面白かったと思います。
あとはダンサーのすばらしさ。やはりこれに尽きるでしょうね。訓練された肉体の
美しさ。繊細でいて力強いダンス。きらめくようなテクニックと確かな演技力。
振り付けというのはダンサーがいて初めて形になるものですから、いくらベジャール
素晴らしい振り付けを考えても、体現する人がいないと話にならないわけです。
ベジャールの作品を上演するバレエ団は世界中にいくつもありますが、やはり
ベジャールが自身の名前をつけたこのカンパニーに勝るところはないでしょうね。
今回のツアーには残念ながらベジャール本人は同行していません。ドクターストップ
で来日できなかったということです。もういいお歳ですからね。
長生きしてこれからも素晴らしい作品を創り続けてほしいものです。