ETV特集

ロシア ロマノフ王朝の悲劇 90年目の遺骨発見
2007年に発掘された遺骨がニコライ二世の息子と娘のものだと確認された
(DNA解析がすべての機関で終了し、その結果がでた)というものだった。
しかし、疑問が解消されないぞ。


先に9人分の遺骨が発掘されている。
(ちなみにニコライ二世には4人の娘と1人の息子がいた。従者を入れると
処刑当時監禁されていた人数は11人らしいので、2人分遺骨が足りない)
それは「皇帝一家と従者のものと確認された」と当時のロシア政府は発表し、
大々的な国葬を行い埋葬した。
当時その発表に対し、世界のいろんな機関・学者が異論を唱え、北里大学
教授も「自分がニコライ二世の着衣の汗から抽出したDNAと今回ニコライ二世
のものとされたDNAが違う」と語っていた。
それが10年前。
そして昨年発掘された遺骨のDNAは「ニコライ二世とその妻のDNA」と比較され
親子関係があると確認された。それは男性のDNAを持っていた。
別の遺骨からは女性のDNAが抽出され、先の男性とは兄弟であると確認された。
よって、この遺骨は皇太子アレクセイと娘の誰かのものである。
すでに埋葬されている遺骨が9人分あり、今回2人分発見された。よって皇帝一家
の遺骨はこれがすべてであり、一家は全員殺害されていたと確認された。


でもね、埋葬されている10年前の遺骨は掘り返してないでしょう?
比較の基準となったDNAがニコライ二世とその妻のものだという前提での結果
だけれど、それが本当にそうかどうかは疑問の余地があるんだよね?
そんな状態なのに今回の結果をもって幕引きをするというのはいかがなものか。
ロシア政府がこの問題に決着をつけて、その人気を煽り自らの政治活動を有利に
行いたいという気持ちはわかるけど。
「科学的根拠」とか「可能性」とかは時代が下がれば変わっていくこともあるのに。
皇女アナスタシアが実は生きていて……っていうのはさすがに無理があるような
気がするけれど、心の中で「もしかしたら生きているかもしれない」って国民が
思うのも許せないのかな。何が何でも「死にました。殺されました」にしたいの
だろうか。それで「革命は間違っていた」とか言いたいのかな。
ニコライ二世を聖人にしたのも、皇帝を敬いあがめる心を宗教的なものにすりかえて
現政権への不満が皇帝思慕の元に結集しないようにしている。
というのは考えすぎかな。