vol.33「第12回世界バレエフェスティバル」Bプロ

今回は1F10列付近のセンター近く。いい席なんだけど、文化会館のセンターは席が
縦に真っ直ぐ並んでいるのです。一列ごとに半席分ずつ左右にずれていると見やすい
のですが。古いホールだから仕方ないのかなぁ。改装したときに変えれば良かったのに。
そしてまたしても真ん前の席に座高が高い中年女性……。センターで踊るときには
全く見えなくて、左右に頭を振りながら見てました。後ろの席の人、ごめんなさい。

指揮:デヴィッド・ガーフォース
管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:高岸浩子

あんまり言いたくないけど、毎度ながら演奏がひどいです。
管楽器がしょっちゅう音を外してぷあってなるんですよね。今日は弦楽器もへろへろ
していました。オケメインの演奏会では聞いたことないから、楽団員が適当に演奏してるのか
とか、正メンバーじゃなくてトラばっかりなのかとか、考えてしまいます。
音楽はおまけじゃなくて舞台を構成する重要な役割を果たすんだから、演奏が残念だと
ステージとしてのレベルが下がってしまうのです。踊りがイマイチでも演奏は素晴らしかった
っていう舞台は日本じゃ無理ですかね。
配役表(NBSのサイト)






■第1部■


序曲「戴冠式行進曲」 (ジャコモ・マイヤベーア作曲)

演目と出演者の一覧がスクリーンに映されます。毎回この曲で始まります。

チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」

振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

マリアネラ・ヌニェス ティアゴソアレス

全体的には悪くなかったんだけど、Aプロのコチェトコワ・シムキン組の印象が強かったのでちょっとかわいそうかな。ソアレスが身体が硬く脚があまりあがらないので、ジャンプそのものは高くてもあまりそう見えなくて、残念でした。アダジオでヌニェスがちょっとミスしてつっかかったんだけど、ソアレスは上手にカバーしてました。

コッペリア

振付:アルテュール・サン=レオン/音楽:レオ・ドリーブ

ヤーナ・サレンコ ズデネク・コンヴァリーナ

これもAプロのコジョカル・コボー組がよかったので、比較されると気の毒。上品に踊っていたのはよかったんですが、迫力はなかったですね。コーダで連続回転中にサレンコの前髪が落ちてきてしまって顔が半分隠れてしまいました。レッスン中ならともかく、クラシックでこれはちょっといただけないです。

アレクサンダー大王

振付:ロナルド・ザコヴィッチ/音楽:ハンス・ジマー

ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル

すごくいい!セミオノワが妖艶で、黒髪も良く似合ってた。Aプロのマノンよりよほどいいですよこれ。音楽も素敵だし振付もいい。官能的なPDDでした。

「海賊」より "寝室のパ・ド・ドゥ"

振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ

シオマラ・レイエス ホセ・カレーニョ

以前に一度見たことがある、洞窟の中のシーン。美しいシーンだけど、いつこれに変更を決めたのだろう?ロミジュリのバルコニーのPDDからの演目変更。衣装や舞台装置の関係上、そんなに急な変更ではないはずだけど。カレーニョがどこか故障とかじゃないといいけれど。
見事なリフトでした。両腕を真っ直ぐ伸ばしたカレーニョが支えるのは殆ど水平になっているレイエスの身体。レイエスの片手はカレーニョの肩に置かれていたけれど。それも一瞬じゃなくて数秒保持してたのはすごいです。
しかしGrandPDDではないので短いのが残念です。(「海賊」の全曲版は持っていないのだけれど、始まったばかりのところの旋律がPanisAngelicusに似ていたのです。ちゃんと聞きたいな)

白鳥の湖」より "黒鳥のパ・ド・ドゥ"

振付:マリウス・プティパ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

上野水香 デヴィッド・マッカテリ

うーん、どうしちゃったんだろう。二人とも熱でもあったのかしらと疑っています。本来の実力は全然出ていませんでした。乱暴で力任せで。表情も心なしか疲れているように見えました。

「パリの炎」

振付:ワシリー・ワイノーネン/音楽:ボリス・アサフィエフ

マリア・コチェトコワ ダニール・シムキン

Aプロでは見られなかった「会場全体から湧き上がるような拍手」に包まれました。超絶技巧はこういうのだよ!って感じ。やっぱりお祭りイベントではこういうのがないと。
何をどう説明すればいいのか。二人とも若々しさと活力に溢れていて元気一杯で笑顔も輝いていました。アダジオの段階から見せ場は沢山あったのですが、空気が変わったのはソロ。特にシムキン。すごすぎてはっきり見極められなかったんだけど、たとえば普通は2回転のところを3回転してさらにひねりを入れてしまうような感じ。アラスゴンド・トゥールで7回転しても、ピルエットで10回転しても、まだそれは大したことじゃない。スローでゆっくり見ないとわからない。でも見たことがないほどすごいというのは会場皆わかったから、弾けるように拍手の嵐。コチェトコワもソロは軽やかに踊ってました。そしてコーダ。瞬きをするのが惜しいくらいで、次々に爆発しているようなものすごいエネルギーでした。コチェトコワもフェッテをがんばっていて、90度余分に回って身体の正面を4方向に替えながらのフェッテを見せてくれました。でもシムキンのキラキラした輝きには叶わなかったかな。会場が揺れるような、うなり声のような拍手と歓声でした。Aプロではなかったカーテンコール3回目が起きたのは当然ですね。全幕のドンキ見ればよかったです。コチェトコワの衣装はクラシックチュチュではなく、膝上のミニ丈ロマンティックチュチュでした。






■第2部■


「ナイト・アンド・エコー」

振付:ジョン・ノイマイヤー音楽:イーゴリ・マルケヴィッチ

エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン

ノイマイヤーは見られるものとあまり好きでないものに分かれるけれど、これは(私にとって)難解なほう。どう見ればいいのか考えているうちに終わってしまった感じです。次回もういちどしっかり見ます。

スリンガーランド・パ・ド・ドゥ」

振付:ウィリアム・フォーサイス/音楽:ギャヴィン・ブライアーズ

アニエス・ルテステュ ジョゼ・マルティネス

フォーサイスはいいと思うことがあまりないので。「In the middle, somewhat elevated」の方を見たかったです。

白鳥の湖」第3幕より

振付:グレアム・マーフィー/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

ルシンダ・ダン レイチェル・ローリンズ ロバート・カラン

これはよかった。Aプロよりもダンがずっといいです。王子を挟む二人の女性(白の妃と黒の愛人)との三角関係。以前全幕を見たけれど、抜粋でもちゃんとわかるし、男爵夫人の嘆きの様子がとてもよく出ていた。演技力が素晴らしい。

「マノン」より第1幕のパ・ド・ドゥ

振付:ケネス・マクミラン/音楽:ジュール・マスネ

アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

沼地のPDDからの変更。二人が出会い恋に落ちるシーン。二人からハートマークが飛び出しているようで、この幸せな時間がとてもよかった。実を言えば可憐なコジョカルに沼地のPDDが踊れるのか?と不安でもあったのです。でもこの愛らしいマノンはとてもマノンらしいと思い、俄然その変化が見たくなりました。全幕でやってくれないかしら。原作に忠実なマノンが見られると思います。

「アパルトマン」より "ドア・パ・ド・ドゥ"

振付:マッツ・エック/音楽:フレッシュ・カルテット

シルヴィ・ギエム ニコラ・ル・リッシュ

久しぶりに見ました。マッツ・エックの作品は比較的だれにでもわかりやすいと思います。この「アパルトマン」という作品、全部で11のシーンから構成されるらしいのですが、2003年の第10回フェスでもこのドアPDDだったと思います。他のもみたいなぁ。

「ベラ・フィギュラ」

振付:イリ・キリアン/音楽:アレッサンドロ・マルチェッロ

オレリー・デュポン マニュエル・ルグリ

もう一度みたい作品です。じっくり見直さないとイマイチ理解できていないというのもあります。






■第3部■


「海賊」

振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ

ナターリヤ・オシポワ レオニード・サラファーノフ

Aプロではドンキで会場を沸かせたロシアのペア。オシポワはフェッテの前半を1回転−2回転−2回転、後半は1回転−1回転−2回転で回って見せるし、サラファーノフはジャンプがとても高く美しい。

「ル・パルク」

振付:アンジュラン・プレルジョカージュ/音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト

ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ

愛の世界が繰り広げられていた。ヴィシニョーワもこなれてていいなぁ。二人がキスをしたまま、マラーホフの首に回した両手だけを支えにマラーホフはヴィシニョーワをぶんぶん振り回していた。ジャイアントスイング?遠心力で飛ばされそう。

「ブレルとバルバラ」  

振付:モーリス・ベジャール/音楽:ジャック・ブレル、バルバラ

エリザベット・ロス ジル・ロマン

相変わらずおしゃれな作品。まずシャンソンそのものがとてもいい曲なのです。そしてベジャールの振付も難解さは殆どないし、ロスとロマンはベジャール・ダンサーですから。使用しているのは次の4曲。「Ne me quitte pas/行かないで」「Dis quand reviendras-tu ?/いつ戻るのか教えて」「La Solitude/孤独」「Avec élégance/エレガンスを持って」

エスメラルダ」

振付:マリウス・プティパ/音楽:チェーザレ・プーニ

タマラ・ロホ フェデリコ・ボネッリ

ロホが超絶技巧のオンパレード。でも軽やかにさらっとこなすのでうっかり見逃してしまいそうになります。ピルエットの4回転は何度も出ましたし、5回転もするっと回っていましたよ。フェッテでは4回転から入り、1回転−1回転−4回転×2セット、1回転−1回転−3回転×2セットで前半を終え、後半はコチェトコワと同じく身体の正面を1/4ずつずらしてのフェッテ、最後も3回転で締めくくりました。コチェトコワ&シムキン組に迫るくらいの拍手をもらっていました。CC3回。

「オネーギン」より第3幕のパ・ド・ドゥ

振付:ジョン・クランコ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

マリア・アイシュヴァルト フィリップ・バランキエヴィッチ

これはいい。アイシュヴァルトが苦悩するタチアナを見事に表現していました。バランキエヴィッチが踊るとろくでなしのオネーギンが純愛に身を捧げる良い人のように見えましたけどね。CC3回。

ドン・キホーテ

振付:マリウス・プティパ 音楽:レオン・ミンクス

スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・ウヴァーロフ

二人とも軽快に踊っていました。元気ならよかったです。フェッテも1回転−1回転−2回転をやっていたし。

フィナーレ 「眠れる森の美女」よりアポテオーズ (ピョートル・I.チャイコフスキー作曲)

全員並ぶと良くわかりますが、コチェトコワちっちゃ!150cm代の前半だと思います。サレンコも小柄でしたが。似たような背丈なのは他にコジョカルやロホあたり。逆に大きいのはギエム、ルテステュ、ザハロワあたり。水香も大きいですね。
今回のBプロは第一部はクラシック中心、第二部はコンテンポラリー中心なんですね。