vol.37「眠れる森の美女」
マラーホフ版、ということで衣装や舞台装置が随分違います。
音楽も一部違っていましたね。
第1幕のオーロラ姫のバリエーション、聞いたことのないアレンジでした。
第12回世界バレエフェスティバル 全幕特別プロ
マラーホフ版「眠れる森の美女」
指揮:デヴィッド・ガーフォース
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
◆主な配役◆
オーロラ姫:アリーナ・コジョカル
デジレ王子:ヨハン・コボー
リラの精:田中結子
カラボス:高岸直樹
フロレスタン国王:永田雄大
王妃:坂井直子
カタラビュット/式典長:野辺誠治
- テーマは薔薇で統一。
- 舞台は最初から最後まで薔薇園のようなところ。
- オーロラ姫が眠りにつくのは紡(つむ)ではなく薔薇の棘が刺さったから。
- 天井には薔薇の絡みついた大きなシャンデリアがあり、それが下がってきて寝台に横たわるオーロラ姫を取り囲む。
- 衣装の色もローズを基調にしていて、プロローグや第1幕はブラウンベースのサーモンピンク、第3幕はブルーベースのピンク。
- 王と王妃はエリザベス朝風なスタイル、貴族の婦人達はベアトップにたっぷりとしたスカーフを首に巻き、長手袋。スカートは足元付近で一度すぼまってギャザーが寄っている形。
- 妖精たちは狩服のような上半身(上着の袖は肘まであり、そこから長いフリルがついている)で頭には羽根つきの小さな帽子。クラシックチュチュだけど、スカート部分が大きく(張っているけれど長い)張り出している。
- オーロラ姫は第1幕では白地にピンクの薔薇模様、第3幕では白地にブルーの薔薇模様のチュチュ。
- デジレ王子は第2幕では白いシャツに紫系のフロックコート、第3幕では水色のフロックコート。
結論から言えば、バレエフェスのようなイベントの後に普通の全幕を見るものではない。
稚拙すぎて楽しめない。コールドが交差するときにぶつかったり、ソリストがこけたりすると「もっと練習してから舞台に臨めばいいのに」などと思ってしまう。要求レベルが上がりすぎているのだ。
オーロラ姫とデジレ王子はよかった。軽やかでキラキラしていて愛らしい姫だったし。王子も丁寧だったし。
他の出演者でよかったのはカラボスとフロリナ姫くらい。
高岸さんだけに長身を活かして威圧感のあるカラボスで、あの大きな目を際立たせる表情もよかった。
フロリナ姫(佐伯知香)の軽くてぴたっと収まる踊りはなかなか。
この舞台、衣装は豪華だけれど、日本人には合わないように思う。踊りにくそうだし、スタイルも悪く見える。
ダイヤモンドなどは襟が詰まっている上に右腕には何段もフリルがついているので首がないかのようだった。動くたびにフリルがばさばさしていたし。
妖精の中でもリラのチュチュは一際大きく、長身の彼女だが脚が短く見える。
コジョカルのきびきびとしていてすぱっと決まる踊りが楽しめただけでよかったことにしよう。