学習法

「英語学習」の新トレンド、“集合知から学ぶ”サービスとは?
ネットの発達で色んな勉強方法がありますよね。目的に応じて使い分けることができればいいかな。
例えば「会話ができればいい。旅行のときに困らないように」と「ビジネスで使うからきちんとした
話ができないと」とではアプローチの仕方がまったく違うだろうから。
あとは個人の性格にもよるかも。文法をきちんと学びたい人とどんどん会話したい人。
勿論値段のことも大きいですがね。
なんにせよ、選択肢が増えるのはよいことだと思います。



「英語学習」の新トレンド、“集合知から学ぶ”サービスとは?
2010年03月02日
 今、もし英語を学び直したいと思っているなら、最初に検討すべきはネットサービスの活用だ。
 英語のテキストや音声・動画を見られるサイトなら以前からあるが、それらは本やラジオなど既存教材の代替にすぎない。一方、ここ数年で台頭してきたのは、ネットのメリットを最大限に生かした新種の学習サイト。クラウドや、多くの一般ユーザーの知識を活用する“集合知”といったネットならではの仕組みを、語学の上達に生かすサービスが普及し始めている。しかも、その多くは無料で使える。
 例えば「Smart.fm」で使えるのは、クイズ形式で語彙力を上げるネット上の“単語帳”だが、売りは独自開発した学習エンジン。日々の学習履歴を基に、各ユーザーの記憶に最も定着しやすいように、各単語の表示タイミングを自動調整していくのだという。基本的にクラウドアプリのため、家のパソコン、会社のパソコン、iPhoneなど、どこから利用しても学習履歴は1カ所にたまっていく。

「ハイテク単語帳 Smart.fm(スマートエフエム)記憶定着に“最適”なタイミングをクラウドアプリが自動的に判断する」
 クイズ形式で、主に単語力を鍛えられる。売りは独自開発の学習エンジンで、記憶の定着に最も効果的な学習頻度を自動的に判断し、各単語の表示タイミングをコントロールする(下図参照)。ユーザーが独自に“単語帳”を作成し、皆で共有することも可能。
■適切な学習タイミングをクラウドアプリが判断

 実際に使ってみた。当初は同じ単語がしつこいくらいの高頻度で表示され、和訳、英訳、タイピングでのスペル確認と、多方面から学習させられる。
 何日も続けていると、基本的に、過去に間違えた単語は繰り返し表示され続け、必ず正解できる単語はフェードアウトして新しい単語と置き換わっていくのがわかる。何をどんな順番で学ぶかに一切悩まず、指示に従い続ければいいという状況はかなり気楽。学習の敷居がぐっと下がったように思えた。
 使用する“単語帳“も、旅行会話や偉人の演説など多様なテーマから選べる。ユーザーが独自に単語帳を作って共有することもできる。「辞書で検索した単語をワンタッチで“単語帳”に登録できる仕組みも準備中」(運営会社のセレゴ・ジャパン)だという。


「自分も教えている」という自尊心
 単語の次は英作文。語学学習のためのSNSLang-8」が導入したのは、ユーザーが相互に外国語の作文を添削し合う仕組みだ。
 日本人が英語で日記などの文章を書くと、そこに英語が母国語のユーザーが集まってきて、寄ってたかって添削してくれる。日記のコメント欄には、打ち消し線を引くなど、添削のために特化した機能が搭載されている。

「英作文添削SNS Lang-8(ランゲート)外国人と、互いに作文を添削し合う相互扶助で成り立つ語学SNS
■ お互いに“教師”になる仕組み
 英語で日記を書くと、ネイティブのユーザーが添削してくれるSNS。その代わりに日本人ユーザーは、外国人が日本語で書いた日記を添削するという仕組みだ。日本語を学びたい英語圏の人と「友達」登録をすれば、お互いにとって効率の良いライティング学習が可能。

 なぜわざわざ添削してくれるのかといえば、彼らが逆に日本語で文章を書くと、日本人が添削してくれるという相互扶助の関係があるからだ。自分の母国語について、外国人のおかしな文章を直すのは、語学の知識がなくても意外にできるもの。これにより、プロの教師が一切介在しなくても、一般人の“集合知”だけでライティングを練習できる環境が成立する。「従来、ライティングを効率よく学べる環境はほとんどなかった」(運営会社のランゲート)。ネットがあってこその進化だ。
 記者自身も、英作文の練習など大学卒業以来だが、つい夢中になって大量の英文を書いていた。「自分も相手に教えている」という“自尊心”は、勉強のストレスをぐっと弱めてくれる。カタコトの日本語の文章を添削するのも、なかなか新鮮で楽しい体験だった。


英会話にも「価格破壊」が到来
 英会話でも画期的なサービスが生まれている。「レアジョブ」は月にたった5000円で、毎日25分間の会話レッスンが受けられるのだ。その秘密は、インターネット電話のSkypeスカイプ)。無料で通話できるこのソフトを通じて、英語圏であるフィリピン在住の講師と話すというのが基本的な仕組みだ。講師の多くは現地の普通の大学生だが、それでもネイティブと大量に話せることは上達にとって有用だ。枠さえ空いていれば、レッスン開始時間の5分前まで予約ができる。

Skype英会話 レアジョブ 毎日習っても月5000円!ネットで英会話に価格破壊」
 通話無料のインターネット電話Skypeを使い、英語圏であるフィリピンの講師と会話レッスンができる。毎日25分利用しても月5000円という低価格で、しかも5分前まで予約ができる。利用できる時間帯は毎晩20時〜25時と、休日の9時〜12時。

 全く話せない初心者には、電話だけでのレッスンはやや敷居が高いが、この安さなら何度か試してみる意義はある。ただ、スカイプの環境をつくる際は、なるべく性能の高いパソコンと高速なネット回線を使ったほうがいい。記者がノートパソコンから無線経由でレッスンを受けた際はかなり音質が悪く、正直レッスンに集中できなかった。


たった数百円で“プロの翻訳”が利用できる
 一方、09年ごろから登場してきたのが、たった1文など、小口の案件を気軽に頼める翻訳サービス。英文メールを書くといった用途以外でも、「英語記事のここだけがどうしても訳せない」といった状況でも役立つ。
 なかでも、「myGengo」のサービスには正直驚く。日本語から英語に訳す場合、1文字当たり2〜10円の料金がかかるが、とにかくレスポンスが早い。数行程度の文章量なら、発注から10〜30分以内にはおおむね結果が届いた。それでいて、訳しているのは同社の試験を通った“プロ”である。

「人力カジュアル翻訳 わずか1文から、プロに翻訳を発注短い文ならあっという間に結果が届く」
 わずか1行などの短文から利用できる翻訳サービス。結果は早ければ数時間以内に届き、料金も短い文章なら、数百円以内で済む。「myGengo」は基本的に、試験をクリアした“プロ”に有料で発注。一方の「ソーシャル翻訳コニャック」は、誰でも翻訳に参加できる仕組みで、一部は無料でも発注できる。

 ただ、頻繁に頼めば費用がかさむ。それに対し、「ソーシャル翻訳コニャック」は1文字当たり1円未満。ただしこちらの翻訳者は上級者とは限らず、明らかにいい加減な訳文が交じることもあった。レスポンスもmyGengoには及ばない。コニャックは1つの発注に3人が訳文を寄せる仕組みのため、“不良品”のリスクはある程度カバーできるが、価格差なりのクオリティといえる。ただ、2月末から「翻訳者の評価システムを取り入れた」(運営会社のエニドア)ため、今後は改善される可能性もある。
(文/臼田正彦=日経トレンディ