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「太芯シャープペンシル」まるで鉛筆の書き心地…世代超え、勉強に趣味に


鉛筆の書き心地を追求したシャープペンシル
芯が回転し続けて丸くならないシャープペンシルや、いつも角で消せる消しゴムやら。
本当に日本の文房具っていろんな意味ですごい。

「太芯シャープペンシル」まるで鉛筆の書き心地…世代超え、勉強に趣味に
産経新聞 4月11日(月)14時8分配信
 芯の太さが0・7〜2・0ミリ程度と従来よりも太い「太芯シャープペンシル」の商品が相次いで登場し、新たな文房具として注目を集めている。書き心地のよさが「まるで鉛筆みたい」と好評で、学習用に活用する小中学生や趣味のクロスワードパズル用などにする大人まで、世代を超えて愛用者が増え、用途も拡大している。(大島直之)
 ◆学校現場に配慮
 シャープペンシルは一般に0・5ミリが主流。これより芯が太いタイプは従来、製図の専門家向けなどに限定されていた。この太芯シャープペンシルを一般向けに開発した先駆け的な存在が、大手文具メーカー・コクヨだ。
 「鉛筆の正しい握り方を身につけさせたい」「授業中に分解して遊ばせない」などの理由でシャープペンシルを禁止している学校も多い中、「課題を解決できれば、学校でも使える」と開発に着手し、平成23年に「キャンパスジュニアペンシル」を発売した。芯の太さは0・9ミリと1・3ミリの2種類。
 握る部分を鉛筆のような六角形とし、鉛筆より重くなりすぎないよう樹脂製の部品を使用。学校現場に配慮し、子供が簡単に分解できない構造にした。担当者は「鉛筆の使用感にこだわった」と話す。
 ◆「削る手間」なく
 発売したところ、たちまち「鉛筆のようで書きやすい」と話題になり、文具売り場に特設コーナーができるほどの人気を集めた。
 芯が折れにくく、鉛筆のように削る手間やくずの処理も省けるため、子供だけでなく趣味のクロスワードパズルやデッサンなどに愛用する大人も急増。太芯シャープペンシル市場に他社からの参入もあり、価格帯は1本150〜800円程度と選択肢が増えた。
 大手文具メーカー・三菱鉛筆は、中高生の学習用に特化した「クルトガ スタンダードモデル」を販売している。
 芯が徐々に回転することでとがり続け、芯の太さが片寄ることなく一定を保ち続けるのが特徴だ。
 家庭や塾での勉強に使っている子供が多いことに着目。学習用の方眼ノートにも、大きな字で太さもバランスよく書けるように設計している。
 ◆プロの愛用者も
 一方、大手文具メーカーとは一線を画すのが、鉛筆メーカー・北星鉛筆(東京)の「大人の鉛筆」だ。
 コクヨ三菱鉛筆のような子供用とは逆の発想で、「大人が使いやすい鉛筆」をコンセプトに太芯シャープペンシルを開発した。
 芯は鉛筆のように太い2ミリ。鉛筆の製造ラインを使って木材を加工し、握る部分は鉛筆と同じ素材を使用した。
 木材と金属部品を組み合わせることで、中心は軽く両端が重い絶妙なバランスに仕上げた。わずかに重心を先端に近づけることで、限りなく鉛筆の書き心地に近づけている。
 芯の軟らかいB、2Bの商品が人気といい、担当者は「デッサンに使う漫画家や譜面記入に使う音楽家など、プロの愛用者も多い」と胸を張る。
 民間調査会社の矢野経済研究所によると、国内のシャープペンシル市場は、23年度の131億円から27年度は155億円まで拡大する見込みで、業界の開発競争は今後ますます過熱しそうだ。
最終更新:4月11日(月)19時0分