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東京2020――日本の首相がスーパー・マリオに





東京2020――日本の首相がスーパー・マリオに
BBC.com
2016年08月22日

16日間の大会で選手も観客もくたびれはて、リオデジャネイロ五輪の閉会式を眺めていた21日、マラカナン競技場ではオリンピックの閉会式におなじみの光景が繰り広げられていた……と思ったら……いきなり安倍マリオならぬ、スーパー・マリオに扮した安倍晋三首相が巨大な土管から登場して、世界の度肝を抜いた。

人気ゲーム「スーパー・マリオ・ブラザーズ」は日本が世界に提供してきた最も有名な輸出品のひとつだ。東京・渋谷の真ん中からマリオがリオまで土管を通して、そして現れたと思ったら安倍首相だったというこの演出は、次の2020年東京五輪がどういうノリのものになるのか、世界へのヒントとなった。日本のポップカルチャーの様々な有名キャラクターを、何のためらいもなく次々と繰り出してくる大会になるのだろう。
東京五輪の主催者がリオの閉会式に用意した歓迎ビデオでは、興奮した様子で東京を走り回ったマリオが、有名な緑の土管に飛び込む。ビデオはそこで競技場の映像に切り替わり、中央からせりあがる緑の土管から、マリオのような服を着てうずくまった姿が浮かび上がる。
そこにいるのは、実は安倍首相だった。特に外交的とも、ポップカルチャーに造詣が深いというイメージも特にない首相が、マリオの赤と青の衣装をまとって立ち上がった。衣装が落ちて普段のスーツ姿になりながら、赤い帽子を手にあいさつした首相の姿に、ソーシャルメディアは大騒ぎとなった。
安倍氏が手にしていた赤いボールを高く持ち上げると、それは日本の国旗の日の出のように赤く輝いた。

スーパー・マリオとは

スーパー・マリオは任天堂の大人気ゲーム「スーパーマリオブラザーズ」のキャラクター。赤い帽子と青いオーバーオールで有名なイタリア人配管工マリオは、一大ブームとなったゲーム・フランチャイズの主人公だ。
東京五輪の歓迎ビデオに登場したポップカルチャーの人気者は、マリオだけではなかった。四次元ポケットで有名なドラえもん、口のない猫のハローキティキャプテン翼もいた。


ソーシャルメディアから東京五輪にリクエスト>

1. お願いです。開会式の演出にはスタジオ・ジブリも参加してもらえますか?

幻想的な物語と素晴らしいアニメーションで知られる、日本で最も有名な映画スタジオ「スタジオ・ジブリ」に、開会式に関わってほしいという声が上がった。

2. 2020年大会ではポケモンGOも正式競技になりませんか?

リオ五輪閉会式のビデオには、ポケモンのキャラクターは登場しなかった。ポケモンが最近登場しなかった場所は、閉会式くらいだったとも言えるかもしれない。それでも、4年後には競技に――と期待する人たちもいた。

3. 2020年東京五輪のスタッフは全員ロボットにできませんか?

五輪スタッフにロボットをボランティアで使ってもらえないか、あるいはせめて開会式・閉会式にロボットを出演させてくれないかというリクエストの投稿もたくさんあった。


日本でも大勢が閉会式に夢中の様子だった。多くの人が、コスプレ首相のゲスト出演に驚き歓迎していた。この一生に一度の出来事を、カフェインで記念しなくてはと反応した人もいる。
その一方で、2012年ロンドン大会の開会式で、エリザベス女王が「ボンド・ガール」として登場したのとは「比べものにならない」という意見もあった。
とはいえ、東京五輪についてはこれまで様々な問題が報道されてきただけに、安倍首相のリオ閉会式登場は前向きな報道のきっかけを作った。
東京五輪をめぐっては、エンブレムの盗作騒動にはじまり、新国立競技場のデザインでも二転三転。五輪誘致をめぐる汚職疑惑も浮上している。
しかし今のところ、こうした悪評はひとまずさておいて、4年後に東京が見せてくれるものに「うわあ!」と感動して興奮したいと、多くの人が期待しているようだ。
(英語記事 Tokyo 2020 clues: when Japan's PM dressed up as Super Mario